ほすこと。お手本は……已むを得ぬから、外国トオキイに出る舞台俳優のうちから好きなのを選ぶこと。
第三に、練習用脚本は、日本現代作家のものなら誰のものでもよろしい。但し、自分が面白いと思ふものを選ぶ。それも、工夫する毎に面白さの増すやうなものでなければ永く続けないこと。
第四、上演目録は、新進作家のものか、或は西洋劇の巧な翻案を選ぶ。但し、これは責任上私に推薦させて欲しい。
第五、稽古は、少くとも二ヶ月間、ぶつ通しでやること。勿論、稽古の方法は、演出者と相談して、無駄を省くこと。
これだけを守つて、新劇が「面白く」ならなかつたら、私はエチオピヤへ行つて獅子に食はれてもいい。
松竹が如何に「演劇の大学」なりと自称し、東宝が如何に「大衆芸術の殿堂」を標榜しても、松竹は「現代的」でなく、東宝は「演劇的」でないこと明かで、将来若し、第三者が、「現代的」なること東宝の上に出で、「演劇的」なること松竹より純乎たる一分野を開き得たら、「現代演劇」の主権は、疑ひもなくその掌中に握られるわけである。
映画は演劇よりも演劇的なり
ところが、かくの如き分野は、皮肉にも、既に存在するの
前へ
次へ
全10ページ中6ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング