芝居と僕
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)商業劇場《テアトル・ド・ブウルバール》
|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)|黄色い微笑《アン・スウリイル・ジヨオヌ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
(数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「弓+享」、第3水準1−84−22]
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一
今更回顧談でもないが、今度「現代演劇論」といふ本を出したあとで、僕は、なんだかこれで一と役すましたといふ気がふとしたことは事実である。これからまだあとにどんな役がひかへてゐるにせよ、それがまた今まで以上に満たされない結果に終るかも知れぬにせよ、ともかく、今日まで十数年の間、僕は、芝居のためにするだけのことはし、僕の能力で齎し得るだけの成果は収めたつもりである。もつとしたいこともあつた、やればできたかも知れないやうな仕事もあるにはあつたらうが、それらはすべて、熟慮の上、望み得る程度が、現在の諸条件に照して、あまりに低いものでありすぎる場合に、僕の熱情を掻き立て得
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