で字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
横川 (更子に)君一人で話をし給へ。大丈夫だらう。
微々 大丈夫です。
[#ここから5字下げ]
横川と嬉野は、次の間に去る。
[#ここで字下げ終わり]
[#ここから改行天付き、折り返して1字下げ]
微々 この間は失礼しました。これは、非売品にしたのですが(額の包みをほどき)特に、記念としてあなたに進呈します。(絵を差し出し、卓子の上に置く)
更子 (黙つてそれを見てゐるが、いきなり、手に取り上げて、傍らの長椅子の上に投げ出す)
微々 まだ怒つてらつしやるんですか。それでは、次にあの際お落しになつたダイヤですが、何処で拾つたとお思ひになります。
更子 ……。
微々 不思議ですね、あの絵の裏にはひつてました。絵には勿論穴があいてゐます。今朝、会場を片づける時に、そいつを発見したんです。ところで、誠に困つたことができたと云ふのは、僕、実は、少し前に、あるところで、やはり、ダイヤを一つ買つたんです。何時かそのうちに恋人でもできたら、贈物にでもしようと思つて、奮発をしたもんなんですが、そいつを、蟇口ん中へほうり込んで、
前へ
次へ
全49ページ中39ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
岸田 国士 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング