いよ。そんなことも、僕に相談すれやよかつたんだ。
更子 だつて、三千円なくしちまふより、千円損した方がましでせう。
横川 今なら、三千円はしないよ。まあ、いゝさ、しかたがない。僕なら、拾つた奴にあれをやつちまつて、千円で新しい奴を買ふね。
更子 いゝわよ。あのダイヤ、あたし気に入つてるのよ。
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この時、呼鈴の音。やがて、春日珠枝が「ダイヤを拾つた男」の来着を告げる。
緊張した一瞬間。
三堂微々が、粛然とはひつて来る。
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更子 あツ!
微々 僕だと云つては、会つて下さらないと思ひまして、わざと、名前を云ひませんでした。
更子 それぢや、ダイヤのことも嘘なんでせう?
微々 嘘ぢやありません。こゝに持つてゐます。が、お話は二人きりでしたいもんですな。
更子 (横川に)どうしませう。
横川 どなたゞ、この方は?
微々 三堂微々、漫画を描いてゐます。
横川 あゝ。僕、横川といふもんです。
嬉野 わたくし、かういふもんです。(名刺を出す)
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長い沈黙。
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