るパニョオルの諷刺劇である。
 この作家は最初からブウルヴァアルに躍り出たので、その出世作「トパアズ」は、先月帝劇で翻案上演されたが、巴里の見物を狂喜させ、世界各国で評判をとつたこの愉快なるヴォオドビルも、日本の観客は、冷然としてこれを迎へ、屡々欠伸を噛み殺してゐたやうである。
 この脚本を松竹に推薦した私は、このことで幾分責任を感じなければならぬわけであるが、しかし、私には、私の云ひ分があり、この文章の結論としては、甚だ便利なことであるから、今、この問題に触れてみることにする。
 この「トパアズ」といふ作品は、所謂高級な作品ではなく、日本の見物を可なり甘く見ても、十分、その興味を惹き得る通俗喜劇であるが、その面白さはどこにあるかといへば、決して、筋や趣向にだけあるのではなく、さうかといつて、それほど奇抜な思想や巧妙な会話が特色であるとも思へない。要するに現代生活の裏面を、痛快に、やや意地悪く暴露、戯画化した、剽軽で図々しく、辛辣で愛嬌のあるその作品のトオンが、何よりも現代人の嗜好に投じたと見るべきであらう。
 然るに、かういふトオンは、作者の稟質にもよるのだが、これに舞台的生命感を盛
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