定するばかりでなく、最小限の興行日数を予定する。これが劇場主に取つては一つの冒険である。大概なら、その期限だけはやり通す。また、その期間だけやつて貰ひたさに、或る種の譲歩をする作者もあるらしい。
現在の劇作家協会は、その事業として、第一に上演の保障、第二に救恤金の積立、第三に新進作家の擁護を標榜してゐる。第一は先づ申分の無い成績を挙げ、第二も老朽作家の保護、寡婦孤児の扶養、医療設備、購買組合等に著々実績を挙げつゝあるやうである。たゞ、第三が思はしく行かない。
会員を三種に分け、第一種会員は、八幕以上を上演し、四百法を拠金し、且つ二名の同種会員により推薦されたもの、第二種は、たゞ三幕以上を上演したもの、第三種はそれ以外のものとなつてゐる。従つて、誰でも会員になれるわけである、勿論会員の種別によつて、擁護せらるべき利権の範囲が違ふばかりである。
会規は一々こゝで挙げる必要もあるまい。同協会と契約を結んでゐない劇場で会員の作品を上演することはできないとか、会員が個人的に関係のある劇場で自作を上演させる場合の特規とか、殊に、協会と劇場とが取交した契約より不利な条件で、会員がその劇場の一つ
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