治的の力を形づくる要素といふものも、今までのものより、ずつと広く大きくなつて行くだらう。さういふ意味から云へば、現在のところ、今までに政治力のなかに入らなかつたやうな民衆のいろいろな要素が、それに加つて行く道が、寧ろこれから拓けるんぢやないですか。この機会に、それがなるべく沢山はひつて欲しいと思ふのです。翼賛会がさういふことに役に立てばそれだけでもいゝと思ふんです。今翼賛会の一番大きな本当の仕事は何かといふと、官制の改革と議会の改革で、これが誰の力でもできない。役人と代議士では官制の改革も、議会の改革もできないから、第三のものが出来て来たのが、この翼賛会だと思つてゐる。それなら、これは今までの政治力の上に、さらになんらかの力を加へなければいけない。それを、革命といふ形でなくて変へようといふ、日本的の含みのある一つの運動だと僕は解釈してゐる。随つてこれは、公明正大なる心で、政治に対して一番よく発言のできる時代になつたとも云へませう。これが或る時期を過ぎて、また固定すれば、いろいろな弊害が出来るかも知れないが、今は少くともさういふ時期で、知識層がこゝで起ち上つて、日本の今までの政治のなかに
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