温室の前
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)お交際《つきあひ》
[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
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大里貢
同 牧子
高尾より江
西原敏夫
東京近郊である。
一月中旬の午後五時――
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第一場
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大里貢の家の応接間――石油ストーブ――くすんだ色の壁紙――線の硬い家具――正面の広い硝子戸を透して、温室、グリーン・ハウス、フレム及び花壇の一部が見える。
硝子戸に近く、高尾より江――二十五六歳に見える――が、ぢつと外を眺めてゐる。さつぱりした洋装。
――間――
大里牧子――二十八九歳ぐらゐの目立たない女――小走りに現れる。
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牧子 どうも、お待たせしました。兄がなんにも云つてつてくれないもんですから、間誤ついちまつて……。(両人腰をおろす)普段から、兄は兄、あたくしはあたくしでせう。何一つ手伝はせないんですの。
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