お爺さんが来ましたよ――ほら、何時か、生意気なことを云ふつて、あなた、お怒りなつた運転手みたいな男ね、あれを伴れて……。
貢 なんて。
牧子 グリーン・ハウスを見せろつて……。
貢 そいで……。
牧子 あたくしにはわからないつて、断りましたの。
貢 どなたか、お客さん?
牧子 いま? ええ。どなたかあてて御覧なさい。
貢 高尾より江さん。
牧子 あら、御存じなの。まあ、あきれた……。ぢや、どうして、早く御挨拶をなさらないの。
貢 今、行くよ。一寸、手を洗つて……。
牧子 (より江に笑ひかけ)知つてたんですつて……。きまりが悪かつたんでせう。
より江 (これも面白がつて)そんな?
貢 (現る)やあ、失礼……。
より江 昨日は……。
貢 ようこそ……。僕達は、お客さんのもてなし方を忘れてるかも知れませんが、しばらく辛抱して遊びにいらしつて下さい。そのうちに、また慣れると、いくらか殺風景でなくなるでせう。ええと、紅茶でも入れたらどうだ。
より江 もう、どうぞ、おかまひなく……。
牧子 おかまひができればいいんですけれど……。すつかりお話に夢中になつて……。ねえ
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