ぬが、一層正確に云へば、人の組合せによつて作られてゐるのである。
 今日の演劇人及び演劇関係者は、その職能及び職域を通じ、国家総力戦にどれだけの力を捧げてゐるかといふと、それは百パーセントであるべきだが、どう見てもさうは云へない。力の出し惜しみといふよりは、力の入れどころの誤りからさういふ結果が生じる。これを結合し、方向づけるものがないからである。
 戦争の完全な勝利と、国家の永久の繁栄のために、日本演劇の今日以後の在り方を、演劇人及び演劇関係者自らはつきり認識し、万難を排して自分自身をそこへ持つて行くといふことが、何よりも大きな政治への協力であり、政治の推進である。



底本:「岸田國士全集26」岩波書店
   1991(平成3)年10月8日発行
底本の親本:「演劇と文化(『演劇論』第四巻)」河出書房
   1942(昭和17)年11月20日発行
初出:「演劇と文化(『演劇論』第四巻)」河出書房
   1942(昭和17)年11月20日発行
入力:tatsuki
校正:門田裕志
2010年3月1日作成
青空文庫作成ファイル:
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