Aア※[#濁点付き片仮名ヰ、1−7−83]ングのハムレット第何場の「型」などと称へ、暗にその「著作者」の人格権を認めて来たのである。
近代演劇は、脚本作家と俳優、この両者の協同以外に、演出家(〔metteur en sce`ne〕)といふ専門家の出現を促した。(従来は、俳優中の座頭若くは興行主、又は作者自ら舞台全体の考案乃至統一指揮に任じてゐたが、脚本の進化及び演劇理論の発達と共に、舞台効果を目指す特殊技術が要求されはじめた結果である)
この点、演劇よりも映画に於いて、いはゆる「監督」なるものの職能が、一般に知れわたつてゐる。
演出家の権利擁護
そこで、再び演出家の問題に還るが、現在「演出」なる仕事の領域は、まだ理論的にも実際的にも、限定されてゐないのである。言ひ換へれば、「演出」の範囲といふものは「演出家」次第で、いろいろに変化する。演出家が脚本を「改竄」し、俳優に命令し、装置家を助手扱ひにするといふ極端な「演出法」もあり、また一方では、演出家が、脚本の指定を墨守し、俳優の註文に応じ、装置家の工夫した装置に従つて「動き」をつけるといふ消極的な「方法」さへあるのであ
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