国大学あたりの専門家に質されんことを希望する。
俳優演技の著作権
最近ちよつと問題になりかけたいはゆる「演出者」の著作権の如きは、三島通陽氏の貴族院に於ける質問通り、現行の法文に照すと、やや拠りどころがないやうに見えるが、それが「芸術的」創作物の範囲に含まれる以上、精神に於いて、当然、本法の保護を受くべきものであり、現に、フランスなどは、法廷記録として「演出」(〔mise en sce`ne〕)に関する幾多の判例をもつてゐるやうである。
ところで、三島氏の舞台装置に関する質問に対し、当局は明確な返答ができなかつたやうであるが、すると、本法最初の起草者たる水野錬太郎氏が、該質問を補足し、「パノラマ」の如きは如何と追究を試みてをられる。すると、政府委員は『「パノラマ」ノヤウナ一ツノ纏ツタモノデアリマスレバ、是ハ疑ナク著作物ト認メラレルカト思フ』と答へてゐる。私はその速記録を読んで、現在、著作物として法律的に保護せらるべき「パノラマ」とはどんなものか、これは恐らく、三十年前の著作権法解説には好都合な一例であつたかもしれぬと、微笑を禁じ得なかつた次第である。
然しながら、「
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