ファルスの近代性
岸田國士
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【テキスト中に現れる記号について】
《》:ルビ
(例)喜劇的《コミツク》
〔〕:アクセント分解された欧文をかこむ
(例)〔Come'die〕
アクセント分解についての詳細は下記URLを参照してください
http://aozora.gr.jp/accent_separation.html
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井汲清治君の説によると、悲劇は貴族的、喜劇は中産階級的、そしてファルスは民衆的であるとのことである。
この観方も面白いし、ほぼ同感であるが、私が演劇の一様式としてこのファルスに興味をもつのは、必ずしも、さういふ「階級的」な意義によるのではない。
もともと、Farce を笑劇と訳すのは、〔Come'die〕 を喜劇と訳すやうに、甚だ文学的でないやうに思はれるが、これも時代を経るに従つて、訳語の生硬さがなくなるであらう。
私は、今しばらく、ファルスを 〔Come'die〕 と対立させず、寧ろ 〔Come'die〕 の中に含ませる意見に従はうと思ふ。
即ち、一口に喜劇と呼ばれるやうな作品の中に、それが喜劇であるがために必要なエレメントを求めるとき、きつとフ
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