モノロオグ
岸田國士

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)逆《さか》さま

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)一番|辛《つら》い

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「言+墟のつくり」、第4水準2−88−74]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)つや/\
*濁点付きの二倍の踊り字は「/″\」
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花茣蓙を敷きつめた八畳の日本間、寝台、鏡戸棚、テーブル、椅子等、すべて安物の西洋家具。寝台には、掛蒲団がなく、マトラスだけになつてゐるところ、テーブルの上に椅子が一脚、逆《さか》さまに載せてあるところ、この部屋が、今誰にも使はれてゐないことを示してゐる。
装飾と云へば、壁に、新聞の新年附録らしい美人画が、鋲で留めてあるきりで、そのほか、何か「歴史的な」ものを求めれば、柱の一本に、四月十七日の日附が出たカレンダアがぶらさがつてゐる。
正面は障子。左手は、一間の床《とこ》の間《ま
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