士淑女である。まだ試験はしてゐない。
定員は、十名である。
入学希望者は、簡単な履歴書と「愛読する戯曲の一節(二十行以内)」を送つて来て欲しい。その前に直接面会は絶謝する。
さて、かくして
僕は、自分の周囲に、自分の望む「演劇的雰囲気」を作り、それを次第に、自分の友人の周囲に押し拡げて行かうと思ふ。
そこで、僕が近頃度々使ふこの「演劇的雰囲気」といふ言葉について、もう少し説明を附け足せば、今日、戯曲を書き、舞台に立ち、又は新劇団の各種の仕事に従事してゐるものは、それぞれの「演劇的雰囲気」を自分の周囲にもつてゐるに相違なく、その雰囲気が、彼等に希望を与へ、精神を鼓舞し、仕事の標準となり、新たな発見を加へさせてゐるのである。ところが、歌舞伎や新派のもつ雰囲気は、既に、歌舞伎的新派的なるもの以外に何ものをも生み出させないことは明かであり、所謂今日の「新劇」のそれにしても、従来の「新劇的」なものより外、これといふものを育て上げてゐないのである。
辛ふじて、本誌に拠る同人諸君は、前に述べた如く、期せずして、一つの「劇作」的雰囲気なるものを在来の「新劇」のそれから引離すこと
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