、すぐそばから、もう一度いふだけぢやないの。
彼 ハヽヽヽ愉快々々……どら、一つ貸せ。
彼女 あたしがしたげる。(疳癪玉を叩きつける。爆音。)
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ドアをノツクする昔。
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彼女 おはひんなさい。
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小森と阿部互に顔を見合せながらはひつて来る。
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小森 もう帰つてたのか。
阿部 まだ帰つてないかと思つた。
彼 なにか用か?
小森 君の仕事のことで、一寸風変りな口を見つけて来たんだ。
阿部 全く風変りなんだ。
彼 まあ、かけろよ。
彼女 もう、御飯お済みになつて?
小森 えゝ、すみました。
阿部 今、そこで、やつて来たところです。
彼 どんな話だい?
小森 僕も、いろいろの方面を当つてみたんだがねえ。なにしろ、君の性質だつて知つてるし、何処でもいゝといふわけに行かんからねえ。実は、こいつとも相談して、ある金持の息子をおだてゝみたんだ。
阿部 おだてたといふと可笑しいが、まあ
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