大阪といふところ
長岡半太郎

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【テキスト中に現れる記号について】

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「執/れっか」、382−3]

/\:二倍の踊り字(「く」を縦に長くしたような形の繰り返し記号)
(例)ポンポコ/\ポンポコネ
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 は仁徳天皇のころから既に開けた都會であることは申すに及ばない。聖徳太子の四天王寺や、蓮如上人の石山本願寺建立に因みて、抹香臭い氣持ちがする。しかし豐臣秀吉が爭亂を平定して、こゝに築城してから、その空氣は一新し、大阪の本質を發揮した。大阪は海灣に面して、淀川は舟楫の便あり、四通八達、物資の集散地として、屈強な地の利、水の利がある。かくの如き土地が開發されるのは、自然の勢であつて、淀川の河身改良を行ひ、そのデルタに運河を疏通すれば、工、商業はおのづから發展する。往時ヴェニスが歐亞の交通上一時覇を唱へてゐた歴史に鑑みれば、大阪は關西方面の商賈出入の關門となつてゐたことは當然である。今日その勢力圈はますます擴張して、東洋貿易の覇權を握らんとす
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