これに対して、何時《なんどき》なりとも要求された場合に安い一定の価格で働らく義務を負うている。都市のすぐ近くと海岸地方とを除けば、この種の地位の空くのが、家族を養う唯一の機会である。人口が少なく、仕事の種類が少ないので、この問題は誰の眼にもはっきりとわかる。従って彼は、かかる空席が生ずるまでは、結婚の志向を抑えるの絶対に必要なることを感ぜざるを得ない。材料が十分にあるので自分の家を建てたいと思っても、農業者が既に十分な労働者を持っている場合には、農業者がそれに適当な土地を与えようとは期待し得ない。そして彼は夏の三、四箇月の間は一般に仕事を見出すことが出来ようが、丸一年間家族を養うほどの稼ぎをする機会はほとんどなかろう。おそらく教区牧師が結婚拒絶権を行使したのは、彼らが待ち切れないで自ら家を建て、または建てようと企て、そして彼らの稼ぎを当てにするという場合であろう。
従って、若い男女は、家人《ハウスマン》の地位が空くまでは、未婚の使用人として農業者の許に止まらざるを得ない。しかもこれら未婚の使用人は、あらゆる農場やあらゆる紳士の家庭で仕事に必要なよりも遥かに大きな比例をなしている。ノル
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