曹ォ]、そしてこれは、もし一七八〇年の出生が偶然に平均以上であったのならば、以前よりも緩慢な増加を仮定しなくとも当然そうあるべきことなのである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Population Abstracts, Parish Registers. Final Summary, p. 455.
 2)[#「2)」は縦中横] Observ. on the Results of the Population Act, p. 9.
 3)[#「3)」は縦中横] Ibid.
 4)[#「4)」は縦中横] Ibid.
[#ここで字下げ終わり]
 従って、大体において、初期の記録簿にありそうな不正確と、少数の別々の年から一般的推論を下す誤謬の非常に危険なことを考えた上で、私は、その後翌年の数字が与えられ従って正確な出生平均を得ることが出来るようになった一七八〇年以後までは、吾々は、出生からの計算に基づいた過去人口の見積りを信頼出来るとは、考えない。この意見を確証するより[#「より」に傍点]以上の論拠としては、私は、英蘭《イングランド》及びウェイルズの記録簿摘要の総括においては、一七九〇年の出生総数は二四八、七七四、一七九五年は二四七、二一八、一八〇〇年のそれが二四七、一四七と出ていることを述べるに止める1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。従ってもし吾々が、五年おきの三期に採った出生から人口を測定しているのであるならば、最近十箇年間の人口は著しく増加してきていると信ずべき十分な理由があるのに、それは規則正しく減少してきたように見えることであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Population Abstracts, Parish Registers, p. 455.
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 『人口条令の結果に関する諸観察1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]』には、出生から計算した前世紀を通じての英蘭《イングランド》及びウェイルズの人口の表が載せてある。しかし上述の理由でこれはほとんど信頼することが出来ない。そして革命当時の人口については、私は、家屋敷による旧式な計算の方を余計信頼したい。
 この世紀の異る時期におけるこれらの人口推算が真に近いということは、ありそうなこととは思われないが、しかし全く不可能ではない。けだし相反する誤謬が互に是正し合っているかもしれぬからである。しかしそれらが基づいている出生率の斉一という仮定は、計算そのものによって誤りなることがわかる。これらの計算によれば、人口の増加は一七六〇年ないし一七八〇年の期間の方が、一七八〇年ないし一八〇〇年よりも急速であったというのであるが、しかし一七八〇年頃の死亡率は一八〇〇年のそれよりも、一一七対一〇〇の比率で大であったことがわかる。従って一七八〇年以前の出生率は一八〇〇年のそれよりも、遥かに大であったはずであり、しからざれば、人口はこの期間より[#「より」に傍点]急速に増加し得なかったことであろう。このことは、出生率の斉一というが如きものを仮定することを、立どころに否定するものである。
 私は実際、他国の類推とキング氏及びショオト博士の計算からして、出生率はこの世紀の初期及び中頃の方が末期よりも大であった、と仮定すべきであったかもしれない。しかしこの仮定は、『人口条令の結果』の中で与えられているよりも小さな人口を――ここで与えられている人口は小に過ぎると信ずべき有力な理由があるのであるが――この世紀の初期に与えることになるであろう。ダヴィナントによれば、一六九〇年における家屋の数は一、三一九、二一五であり、そしてこの計算は多きに過ぎると考えるべき理由はない。現在一戸当りの人数の比率は五・五分の三と想像されているが、これをわずか五人と見ても、六百五十万以上の人口となるが、この時から一七一〇年までに人口がほとんど百五十万も減少したとは全然信じ得ない。出生における脱漏が現在よりも遥かに大であり、そして死亡における脱漏よりも大であったのだということの方が、遥かに本当らしい。そしてこれは、前に言及した、この世紀の前半には出生から計算した人口増加は、出生の死亡に対する比率が保証するよりも遥かに大であるという観察によって、更に確証される。従ってあらゆる見地から見て、出生による計算はほとんど信頼し得ないものである(訳註)。
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〔訳註〕以上二つのパラグラフは第三版より現われたものである。
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 読者は、本書の論述の過程において、脱漏の疑を別としても、出生または死亡の記録簿は、常に人口の推算に対し極めて不確実な資料しか提供し得ないことが、わかったはずである。あらゆる国の事情は変化するから
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