B再婚及び三婚は結婚まで生存するものの比率を過大に与える傾向があり、私生児はこれを過小に与える傾向がある。これら二つの攪乱原因のうちいずれが大であるかは、その国の特定の事情に依存しなければならない。
『最近の報告によれば、我国においては、産児の半数よりも遥かに多くが結婚まで生存するように思われる。しかし出生の脱漏が本章で想像したほどであると推定すれば、結果はむしろ反対になる。』
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一八〇〇年に終る五箇年を平均して、出生の結婚に対する比率は三四七対一〇〇であった。一七六〇年にはそれは三六二対一〇〇であったが、このことから、出生の記録簿は、いかに欠陥があるにせよ、従前は現在より確かに欠陥が大きくはなかったという推論が下されている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかし記録簿の外見上のこの種の変化は、脱漏とは全然関係のない原因からも起り得よう。この世紀の中頃に比較して後期の健康状態が増進したという一般に認められている事実により、幼年期を生きのびる子供の数が増加すれば、産児のうち結婚まで生存するものの比率はもちろん増大し、そしてこの事情によって(訳註)出生に比較しての結婚の比率は現在の方が大となるであろう。他方において、もし以前の結婚が早婚であるために現在よりもむしろ多産的であったとすれば、その結果として結婚に比較しての出生の比率がより[#「より」に傍点]大となるであろう。これらの諸原因の一方または両者が働けば、まさに記録簿に見られる結果が生ずるであろう。従ってかかる結果が存在するというだけでは、記録簿の正確性が増大したという想像を否定する推論は、何ら正当に下し得ない。年出生の結婚に対する比率に及ぼす上記二原因の影響は、後の章で説明することとする。
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1)[#「1)」は縦中横] Observ. on the Results of the Population Act, p. 8.
〔訳註〕本パラグラフのこの箇所以下は第二版ではこれと異る。それは次の如くである、――
『………そしてこの事情によってまさに記録簿に見られる結果が生ずるであろう。この問題に関し既に述べたところからして、読者は、予防的妨げの作用を減ずることなくしてこの変化が生じ得ることに、気が附くであろう。もし産児の半数が三〇歳ではなく四〇歳まで生存するならば、より[#「より」に傍点]大なる比率のものが結婚まで生存してしかも結婚がより[#「より」に傍点]晩婚となることは、明かである。』
なおこの次のパラグラフも、第三版では若干の用語上の訂正の行われたものである。
[#ここで字下げ終わり]
出生及び死亡の登録は、この世紀の後期より初期の方が脱漏が多かった、と想像すべき正当な根拠があるか否かという一般的問題については、私は次の如く云いたい。すなわち最近の報告は、初期のものが不正確であるとなす疑念を確証し、かつこの世紀の初期の記録簿は、あらゆる見地から見て、過去の人口の見積りの基礎としては不確実な資料を提供したものであるということを証示する、傾向がある。一七一〇年、一七二〇年、一七三〇年には、報告から見れば、死亡が出生を超過したように見える。そしてこの世紀の前半を含む一七五〇年までの六期間を採り1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、出生の合計を死亡の合計と比較するならば、出生の超過は極めて小であり、出生のみの計算に基づいて、この期間に生じたと想像される百万という増加を説明するには全く足りない2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。従って、記録簿が極めて不正確であり出生における脱漏が死亡における脱漏より大であるのか、または各十年を隔てるこれらの時期が正しい平均を表わさないか、といずれかである。これら特定の年は、出生の死亡に対する比率に関して、他の年よりも不利な年であったのかもしれない。実際、その中の一七一〇年という一年は、大きな凶作と困厄の年であったのは周知のことに属する。しかし、もしこの疑念が正しく最初の六期に影響を及ぼし得た――これは極めてありそうなことであるが――としても、吾々は、一七八〇年で終る次の三期に関しては、反対の事件が起ったのではなかろうかと、正当に疑い得よう。すなわちこの三十年間には、同一の計算法によって、百五十万の増加があったように思われるであろう3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。とにかく、このようにして採った別々の三年は、決して正当な平均を確立するに足るものとは考え得ないことを、認めなければならない。そしてこれらの特定の年が出生について通常以上に好都合であったのではないかという疑念をむしろ強めるものは、一七八〇年ないし一七八五年の出生の増加が異常に小であることであり4)[#「4)」は縦中横、行右小
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