@』に述べてある三一分の一というロンドンの死亡率は3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、実際よりも低いと考えざるを得ない。五千というのは、おそらく埋葬の脱漏の酌量としては不足のようであり、また戦争や商業上の仕事による不在者は十分に考慮されていない。死亡率を見積るに当っては、現在人口のみが考慮せらるべきである。
[#ここから2字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] ロンドンの人口または死亡率の推算は、最近の人口実測以前には、周知の如き記録簿の大きな脱漏があるので、常に多くの推測や意見に依存していた。しかしここに挙げた諸都市については事情はこの程度に至っていなかった。プライス博士は、人口減退の問題について大きな誤りを犯したように思われるが、彼はこれに言及するに当って、極めて率直に、自分はおそらく一度提出した意見を固持しようという気持に無意識に支配されたかもしれぬ、と述べている。(訳註――この註は第三版より現わる。)
 2)[#「2)」は縦中横] Increase and Decrease of Diseases, p. 32. 4to. 1801.
 3)[#「3)」は縦中横] P. 13.
[#ここで字下げ終わり]
 大都市や、また普通都市においてすら、幼年期に対し特に好ましくない何物かが、確かにあるように思われる。そして死亡が主としてどの社会部分に生ずるかを見れば、死亡が、通常かつ正当に都市に帰せられているより[#「より」に傍点]高度の奢侈と淫蕩に由来するよりは、子供達の弱い肺にとり好ましくないと考え得る空気のむさ苦しさと、彼らがほとんど必然的に経験するとじこめられた生活とに、由来するものなることを、示すように思われる。最良の体躯をもち、最も規則正しく静かに暮している夫婦でも、都市ではその子供を田舎におけると同様に健康にすることは滅多になかろう。
 ロンドンでは前の計算によれば、産児の半数は三歳以下で死亡し、ウィーン及びストックホルムでは二歳以下、マンチェスタでは五歳以下、ノリジでは五歳以下、ノオサンプトンでは十歳以下で死亡する1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。これに反し地方村落では、産児の半数が三十、三十五、四十、四十六、及びそれ以上までも生きる。ヨオクシアのアクウォス教区では、リイ博士が二〇年間に死亡したすべてのものの年齢について作った極めて正確な計算によれば、住民の半数は四六歳まで生きるように思われる2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。そしてもし、死亡率が六〇分の一、六六分の一、またはなはだしきは七五分の一というほど低い、前記諸教区の若干において、これと同一の計算がなされていたならば、産児の半数が五十歳または五五歳まで生存したことがわかったことであろう。
[#ここから2字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] Price's Observ. on Revers. Paym. vol. i. p. 264−266. 4th edit.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. vol. i. p. 268.
[#ここで字下げ終わり]
 都市において出生者の半数が生存する年齢の計算は、人口の見積り数よりも、記録簿に現われている出生及び死亡の数に依存するから、それは、ある場所の住民が年々死亡する比率に関する計算よりも、不確実になる可能性が少い。
 この都市の死亡率によって生ずる空席を充たし、また一切のより[#「より」に傍点]以上の人口需要に応ずるためには、地方からの補充が不断に供給される必要のあることは明かである。そしてこの供給は事実上地方の過剰出生から常に流入しているように思われる。出生が死亡を超過する都市においてすら、かかる結果は、その土地で生れたものでないものの結婚によって生ずるのである。我国の地方都市の増大が現在より遥かに急速でなかった時代においてすら、ショオト博士は、結婚者の十九分の九は他所者であると計算した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。ウェストミンスタ病院で調査した既婚男子一、六一八人既婚女子一、六一八人の中《うち》、わずかに三二九人の男子と四九五人の女子とがロンドン生れであった2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
[#ここから2字下げ]
 1)[#「1)」は縦中横] New observations on Bills of Mortality, p. 76.
 2)[#「2)」は縦中横] Price's Observ. on Revers. Paym. vol. ii. p. 17.
[#ここで字下げ終わり]
 プライス博士は、死亡が出生を超過するところの、隣接教区を含んでのロンドンは、年々一〇、〇〇〇人の供給を必要とする、と想像している。グラントは彼れの時代において、ロンドンだけのための供給を
前へ 次へ
全109ページ中53ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング