は、婦人が農場で大いに働くのが常に習慣なのであるが、この習慣は革命中おそらく増大したことであろう。同時に、最良の最も気鋭の働き手の大部分がいなくなったので、労働の価格は騰貴したであろう。そして新しい土地が耕作されるに至り、また最大の消費者1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]の大部分が外国に行って不在なので、食料品の価格は比例的には騰貴しないであろうから、この労働の真実価格の騰貴は、啻に結婚に対する有力な奨励たる作用を演じたばかりでなく、また農民をしてその生活を改良しそしてより[#「より」に傍点]多数の子供を養育し得せしめたであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] ある時期に増加した子供の数が軍隊に行って留守になった男子の数と等しくなると仮定しても、これらの子供は、すべて非常に若いのであるから、同数の成人が消費すると等しい量を消費するとは想像し得ないであろう。
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 あらゆる時代に、フランスの小農業者及び小財産家の数は極めて多い。そしてかかる事態は一国民の純剰余生産物すなわち自由に処分し得る富にとって好都合なものではないけれども、しかしそれは時に絶対的生産物にとっては都合の悪いものではなく、そして常に人口増加を助勢する強い傾向を有つものである。貴族や僧侶の広大な所領地の多くの売却と分割により、地主の数は革命の間に著しく増加した。そしてこれらの所領地の一部分は、遊園地や遊猟場から成っていたので、この所領土は開墾されることになった。なるほど地租は啻に重税であるのみならず、その賦課が不公平である。しかしながらこの不都合はおそらく、耕作者が蒙っていた従来の圧迫が除去されたのでほぼ相殺されるであろうし、また大きな領地の売却と分割は、農業の側から見れば、または少くとも、単なる人口に関しては主要点をなす総生産物にとっては、明かな利点と考え得よう。
 かように考えてみると、革命中に生活資料は、増加しなかったとしても少くとも減少しなかったらしく思われる。そしてフランスの耕作の現状を一瞥すれば、この仮定はむしろ確証されるようである。
 従って、吾々は、フランスの年出生は革命中七分の一だけ減少したという、サア・フランシス・ディヴェルヌワの臆測に同意することは出来ない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。これと反対に、むしろこの数だけ増加したという方が本当らしい。フランス全土における出生の総人口に対する平均比率は、革命前には、ネッケルによれば、一対二五・七五であった2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。集っている知事の若干の報告によれば、多くの田舎の地方では、この比率は一対二二、二二・五、二三と、上っていることがわかっている3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。そしてこれらの比率はある程度、人口の一部が入営して不在なのによるのであろうが、しかしそれは主として、通常以上に多数の子供が出生したのによるものなることを、私はほとんど疑わない。もし、すべての知事の報告を一緒にしてみて、出生数が総人口に比して増加していず、しかも人口が減少していないことがわかるならば、それはネッケルの出生率が過小であるか――これは非常にありそうなことである、けだしこの原因から彼は人口を過小に見積ったように思われるから、――または戦死者以外の死亡が通常よりも少かったか――これは労働の価格の騰貴と離村向都から云って、ありそうなことである――のいずれかである、ということになるであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Tableau des Pertes, etc., c. ii. p. 14.
 2)[#「2)」は縦中横] De l'Administration des Finances, tom. i. c. ix. p. 254.
 3)[#「3)」は縦中横] Essai de Peuchet, p. 28.
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 ネッケル及びモーオーによれば、革命前のフランスの死亡率は、一対三〇ないし三一・八分の一であった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。地方人口の都市人口に対する比率が三・五対一であることを考えると2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、この死亡率は異常に大であり、これはおそらく人口過剰から生じた窮乏によるものであろう。そして、ネッケルが全く是認しているところの3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、アーサ・ヤングのフランスの農民の状態に関する記述4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]によれば、これは本当に事実であったように思われる。もし吾々が、この過剰人口の一部が除去されたために死亡率が三〇分の一から三五分の一に減少したと仮定すれば(訳註)、この有利な変化は、戦争によって辺
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