合に当てはめれば、必ず誤を犯すことになるであろうし、また右の如き諸事情に関する知識が得られれば、その国に適当する特定の比率もわかることとなり、おそらく一般的比率に頼る必要はなくなることであろう。
 しかしながら、諸国の死亡率に影響を及ぼす諸事情の中で、極めて一般的なものと考えることが出来、また同時に誰の眼にも全くはっきりとわかるところの、一箇の主要なる事情がある。これは、都市の数と、地方住民に対する都市住民の比率である。密集居住と坐業とが健康に及ぼす悪影響は普遍的であり、従って国の一般的死亡率は、農業に従事するものの数に比較してのかかる生活法をなすものの数に、著しく依存するであろう。この原理にもとづいて、都市人口の地方人口に対する比率が一対三であるときには死亡率は約三六分の一であるが、都市人口の村落人口に対する比率が三対五ないし三対七であるときには、この比率は三五分の一ないし三三分の一に上昇し、また右の比率が二対七ないし一対四であるときには、三六分の一以下に下降する、と計算されている。この計算にもとづいて一七五六年の表によって見ると、プロシアの死亡率は三八分の一、ポメラニアでは三七・五分の一、新辺疆伯領では三七分の一、選挙伯領では三五分の一となる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmilch, Go:ttliche Ordnung, vol. iii. p. 60.〕
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 都市と農村を一括してのすべての国の死亡率の最近似平均尺度は、ジュウスミルヒによれば、三六分の一である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかしクロオメは、この尺度は、ジュウスミルヒ時代にはおそらく適当であったかもしれぬが、たいていのヨオロッパ諸国において都市の数も大きさも増加している現在としては、正確でない、と考えている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。彼は実際、この死亡率は、ジュウスミルヒの時代においてさえむしろ低きに失するのであり、今日では三〇分の一というのが平均尺度に近いことがわかる、という意見であるように思われる。ジュウスミルヒは、多くの他の統計学者と同様に、伝染病の年をその計算から除外する傾向がいささかあるから、彼れの比率が低きに失するというのはありそうなことであるが、しかしクロオメは
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