住する許可を有っていることは、周知の事実である。従って彼らの出生は地方に現われるが、死亡はそうはならない。都市の外見的死亡率はこの移住に比例しては増加しないが、けだしそれは現住人口調査に従って計算されるからである。都市の死亡表は、正確に、これら都市に現住する一定数の中での死亡数を示すけれども、しかし地方の死亡表は、その州の推定人口の中での死亡数を示すことになっているのであって、実際は、推定人口のかなりの部分は現住していないのであるから、これよりも遥かに小さな人口の中での死亡数を示すに過ぎないのである。
 ペテルスブルグでは、一七八四年の調査によれば、男子の数は一二六、八二七、女子の数はわずかに六五、六一九であることがわかった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。従って男子の比率はほぼ二倍であるが、これは家族を田舎に残して都市に人頭税を稼ぎに来る者が多いのと、貴族の間に、莫大な数に上るその隷農を、ペテルスブルグやモスコウに家僕として留めておく習慣があるのとによって、生じたものである。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Me'moire par W. L. Krafft, Nova Acta Academiae&, tom. iv.〕
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 ロシアにおける出生数の全人口に対する比率は約二六分の一であって、他国の一般平均と異ならない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Tooke's View of the Russ. Emp. vol. ii. b. iii. p. 147.
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 前に引用したヘルマン氏の論文によると、満一年以内に死亡する男児の比率は、ペテルスブルグでは五分の一、トボルスク県では十分の一、トボルスク市では三分の一、ヴォログダ大僧正管区では一四分の一、ノヴゴロドでは三一分の一、ヴェロネッシュでは二四分の一、アルハンゲルでは五分の一である。これらの州のあるものでは幼児の死亡率は小であるが、特に計算に大きな誤りがあるようには思われないから、一般死亡率は小であると信じてよかろう。スウェーデンでは、全国を通じて、満一年以内に死亡する幼児の比率は、五分の一またはそれ以上である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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