m#「4)」は縦中横、行右小書き]。インディアンは狩猟に出掛けている時には時に三、四日も食物なしで過さざるを得ない5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。そしてある宣教師は、あるイロクォイ族について、それがちょうどこういう場合に遭遇し、自分の持っていた皮や、靴や、樹皮を食った後、遂に困った挙句、仲間の一部を犠牲にして残りのものを救った、と述べている6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Lettres Edif. tom. vi. p. 66, 81, 345; ix. 145.
2)[#「2)」は縦中横] Id. tom. vi. p. 82, 196, 197, 215; ix. 145.
3)[#「3)」は縦中横] 〔Charlevoix, N. Fr. tom. iii. p. 201. Hennepin, Moe&urs des Sauv. p. 78.〕
4)[#「4)」は縦中横] Lettres Edif. tom. vi. p. 167, 220.
5)[#「5)」は縦中横] Id. tom. vi. p. 33.
6)[#「6)」は縦中横] Id. tom. vi. p. 71.
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南アメリカの多くの地方では、インディアンは極度の窮乏生活を送っており1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、そして時に絶対的な飢饉で亡ぼされる2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。島々は肥沃のように見えるけれども、その生産物の水準まで人口が一杯になっていたのである。もし少数のスペイン人がいずれかの地方に定着するならば、そのわずかの余りの人口の増加でさえ、直ちにひどい食料の欠乏を惹き起した3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。栄えたメキシコ帝国もこの点では同じ状態であった。そして国会はしばしば、その少数の兵士のために食糧を獲得するのに最大の困難を感じたのである4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。パラグアイの布教区のように、ジェスイット僧があらゆる配慮と用心とを払っており、またその人口が頻々たる流行病により低く保たれている所でさえ、欠乏の圧迫が全然存在せぬわけでは決してない。聖ミカエル教会の布教区のインディアンは一時非常に増加して、その附近の耕作し得る土地の生産は、それを養うに必要な穀物の半ばにしか当らなかった、と云われている5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。長期の旱魃はしばしば彼らの家畜を殺し6)[#「6)」は縦中横、行右小書き]、凶作を起した。そしてかかる場合には、教区のあるものは最も甚しい窮乏に陥り、その近隣のものの援助がなければ飢饉で亡びてしまったことであろう7)[#「7)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Lettres Edif. tom. vii. p. 383; ix. 140.
2)[#「2)」は縦中横] Id. tom. viii. p. 79.
3)[#「3)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 121. Burke's America vol. i. p. 30.
4)[#「4)」は縦中横] Robertson, b. viii. p. 212.
5)[#「5)」は縦中横] Lettres Edif. tom. ix. p. 381.
6)[#「6)」は縦中横] Id. tom. ix. p. 191.
7)[#「7)」は縦中横] Id. tom. ix. p. 206, 380.
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アメリカ西北岸地方への最近の航海記は、蒙昧生活における頻々たる欠乏の圧迫に関するかかる記述を確証し、そして一般に自然のままで与えられる食物収獲として最も豊富な漁撈も、不確実な資源でしかないことを、示している。ヌウトカ・サウンド近海は、住民が漁業の出来ないほどに凍ることはほとんどまたは全くない。しかし、彼らが極めて用心深く冬の用意に魚を貯え、そして注意深く寒い季節の用意に、出来るものならいかなる食物でも調理し貯蔵する事実から見ると、かかる時期には海で魚が取れないことは明かである。そして彼らはしばしば、寒い季節には、食糧の不足から非常な困難を蒙るように思われる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。マッケイ氏という人が、一七八六年から一七八七年に至る間ヌウトカ・サウンドに滞在していた間に、冬の寒さが長く続き厳しかったので、飢饉が発生した。乾魚の貯えはなくなってしまい、そして新しい魚はどんなものも取れなかった。従って土人は一定の配給で我慢しなければならなくなり、そして酋長は我国人に毎日、規定の食糧、乾鰊の頭七個を持って来た。ミイアズ氏は、この紳士の報道を熟読すれば、人道心を有つ人は何人も戦慄を感ずるであろう、と云っている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Meares's Voyage, ch. xxiv. p. 266.
2)[#「2)」は縦中横] Id. ch. xi. p. 132.
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キャプテン・ヴァンクウヴァは、ヌウトカ・サウンド北方の人民のあるものは、松の木の内皮と海扇貝《ほたてがい》とで作った練りものを食って非常に悲惨な生活をしている、と語っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。ボオトに乗って出たある時、一隊のインディアンに出会ったが、彼らは若干の比目魚を持っていたので、非常に高い価格を申し出たけれども、一匹も分けてはくれなかった。これはキャプテン・ヴァンクウヴァの云うように、珍しいことであり、非常に食糧の乏しいことを物語るものである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。一七九四年にヌウトカ・サウンドでは魚が非常に欠乏して、べらぼうな高価になった。季節が悪かったか不用意であったかして、そのために住民は冬の間食物の欠乏により最大の窮状に陥ったのである3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Vancouver's Voyage, vol. ii. b. ii. c. ii. p. 273.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 282.
3)[#「3)」は縦中横] Id. vol. iii. b. vi. c. i. p. 304.
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ペルウズはポオト・フランソアの近隣のインディアンは、夏の間は漁撈により最も豊かに暮すが、しかし冬には欠乏により死滅に瀕する、と述べている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] 〔Voyage de Pe'rouse, ch. ix. p. 400.〕
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従って、ケイムズ卿が想像しているように、アメリカ土人の種族は、牧畜または農業状態をして彼らに必要ならしめるに足るほど増加したことがない1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、というのではなくて、何らかの原因によって、かかるより[#「より」に傍点]豊富な食物獲得方法を十分に採用せず、従って人口稠密になるほど増加しなかったのである。もしも飢餓のみで、アメリカの蒙昧種族の習慣がかくの如く変り得るのであるならば、私は、狩猟民族や漁撈民族が一つでも残っているとは考えられない。しかしこの飢餓という刺戟に加うるに、ある好都合な一連の事情が、この目的のためには必要なのであることは、明かである。そして疑いもなくかかる牧畜または農業という食物獲得手段は、おそらく、まず、それに最も適した土地において、そしてその地の自然的肥沃度が、より[#「より」に傍点]多くの人間が一緒に住むことを許すことによって、人間の発明力を発揮させるに最も都合の好い機会を与えた土地において、発明され改良されることであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] Sketches of the History of Man, vol. i. p. 99, 105. 8vo. 2nd edit.
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吾々が今まで考察して来た所のアメリカ土人の大部分にあっては、極めて高い程度の平等が行われているので、各社会の全成員は、蒙昧生活の一般的困難と随時的飢饉の圧迫とをほとんど等しく分け合っているのである。しかし南方諸民族の多く1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、例えばボゴタにいるもの、ナッチェス族2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、特にメキシコやペルウにおいては、大きな階級差別が行われていて、下層階級は絶対的隷従の状態にあるので3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、おそらくは、生活資料が欠乏する時には、かかる階級が主として被害を受け、そして、人口に対する積極的妨げはほとんどもっぱらこの社会部分に働くのである。
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1)[#「1)」は縦中横] Robertson, b. iv. p. 141.
2)[#「2)」は縦中横] Lettres Edif. tom. vii. p. 21. Robertson, b. iv. p, 139.
3)[#「3)」は縦中横] Robertson, b. vii. p. 109, 242.
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アメリカ・インディアンの間に起った極めて異常な人口減少は、ある人にとっては、ここに樹立せんとする理論と矛盾するように見えるかもしれない。しかしこの急速な減少の原因は、すべて、上述の人口に対する三大妨げに帰することが見られるであろう。そしてこれらの妨げは、特殊の事情によっては異常な力で作用するが、ある場合には、人口増加の原理よりもより[#「より」に傍点]強くはありえないであろう、とは主張されていないのである。
インディアンの酒精飲料に対する飽くことを知らぬ愛好は1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、シャルルボワによれば、表現しようのない烈しいものであるが2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、これは彼らの間に、しばしば死に至る争闘を絶えずひき起し、また彼らの生活様式からいって闘うことの出来ない新しい一系列の疾病に彼らを曝らし、かつ生殖能力をその本源そのものにおいて死滅させるのであるから、これだけで現在の如き人口減退を生み出すに足る罪悪と考え得よう。これに加うるに、ほとんどあらゆる所において、ヨオロッパ人とのインディアンの接触は、インディアンの意気を喪失させ、彼らの勤労心を弱めまたは誤った方向に向け、その結果として生活資料の源泉を減少する傾向のあることを、考えなければならない。サント・ドミンゴにおいては、インディアンはその残酷な圧制者を飢え死にさせるために、故意にその土地の耕作を放棄した3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。ペルウ及びチリイにおいては、土人の強制労働は、地面の耕作ではなく地下の穴掘へと、致命的な転化をさせられた。そして北方種族においては、ヨオロッパの酒精飲料を買おうという極度の願望から、彼らの大部分のものの勤労は、ただこれとに交換のために収穫増加に向けられることとなったが4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]、その結果として、彼らの注意をより[#「より」に傍点]収穫の多い生活資料の源泉へは向けず、同時に狩猟の生産物も急速に破壊するという傾向を有ったことであろう。アメリカの既知のすべての地方の野獣の数は、人間の数よりも以上に減少している5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。農業に対する注意は至る処でヨオロッパ人との接触から最初に期待された如くに増大するよりもむしろ稀薄となった。南アメリカであろうが北アメリカであろうが、そのいずれの地方においても、その数が減少した結果非常に豊かに生活するようになったインディアン民族があるという話は、聞かない。従って、現在ですら、上述のあらゆる有力な破壊原因が
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