えて憐憫と恩恵から行ったことだとする。そして豊作の年がまた来るとその価格が再び下落しないという最も不合理な不平を並べ立てる。しかし彼等が少しでも考えてみたら、彼等自身の不正な陰謀がなければそれは遥か以前に騰貴していなければならなかったはずであることが、わかることであろう。
『しかし富者が不正な団結をしてしばしば貧民の困窮を長びかせるに役立っているとはいえ、しかもいかなる形の社会でも、不平等の社会では人類の大部分にまた万人が平等の社会では万人に及ぼすところの、窮乏のほとんど不断の作用を妨げることは出来ないであろう。』
[#ここで字下げ終わり]
規則的な労働の価格の存在しない蒙昧社会にも、同様な擺動が起ったことはほとんど疑い得ない。人口がほとんど食物の極限まで増加した時には、すべての予防的及び積極的妨げが当然にその働く力を増加する。性に関する悪習はいっそう一般的となり、子供の遺棄はその頻度を増し、そして戦争と伝染病の機会と惨禍とは著しく増大するであろう。そしてこれらの原因は、おそらく、人口が食物の水準以下に低下するまで、その作用を続けるであろう。そしてその時には、食物が比較的豊富になるの
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