る。植物及び非理性的動物の不定限の増加に対する妨げは、すべて、積極的であるか、または予防的であるとしても非自発的である(訳註2)。しかし人間は、自己の周囲を見廻わし、そして大きな家族を有つ者をしばしば圧迫する窮情を見る時には、また現在ほとんど自分で消費しているその現在の財産か稼ぎ高を考え、そしてそれにほとんど加えるところなくしてこれをおそらく七人または八人に分たねばならぬ場合の各人の分前を計算してみる時には、彼がその思考の趣《おもむ》くままに従うならば、彼がおそらくはこの世にもたらすべき子供達を養うことが出来るであろうか、という疑惑を感ぜざるを得ないのである。平等社会(訳註3)という風なものがあり得るとすれば、かかる社会では、これは簡単な問題であろう。だが現在の社会状態においては、他の考慮が起って来る。彼は世におけるその地位を低め、そして以前の習慣を著しく抛棄せざるを得なくなりはしないであろうか。何かの仕事が現れて来て、それにより、一家を維持することを合理的に希望し得ようか。とにかく彼は、独身の場合よりも大きな困難と激しい労働とに身を委ねることにはならないであろうか。自分自身が身につけ
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