全くなく、また牧揚は極めて少ない。そして、いかなる種類の家畜にしろ、家畜を養うための燕麦《えんばく》や豆や蕪菁《かぶ》を作っている畑もない。道路にとられる土地はほとんどなく、道路は数が少なく、また狭く、主たる交通は水路によっている。共有地もなければ、また大地主の怠慢や気迷や遊猟のために荒蕪に委ねられている土地もない。耕作し得る土地で休耕地となっているものはない。土壌は、熱い恵みの太陽の下で、大抵二毛作が出来る。これは土壌[#「壌」は底本では「譲」]に改良を加え、また客土、施肥、灌漑、及びあらゆる周到適切な勤労によって土壌の欠陥を補う結果である。富者や権力者の奢侈に奉仕し、または何の実益もない仕事に従事するために、人間の労働が農業からそらされることはほとんどない。支那軍の兵士ですら、短期間の衛兵服務と訓練その他時折の任務の時の外は、大抵農業に従事する。生活資料の分量は、また、他国では通常用いないような動物や植物を食物に充てることによっても、増加されるのである3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Duhalde's China, vol. i. p. 272.
2)[#「2)」は縦中横] Embassy to China, Staunton, vol. ii. p. 544.
3)[#「3)」は縦中横] Id. p. 545.
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サア・ジョオジ・スタウントンが与えている以上の記述は、デュアルドや他のジェスイット僧によって確認されているが、彼らはいずれも、土地の施肥、耕耘、灌漑に当っての支那人の倦まざる勤勉と、人間の莫大な生活資料を生産する上での彼らの成功とを、叙説する点で、一致している1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。かかる農業制度が人口に及ぼす影響は明白でなければならない。
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1)[#「1)」は縦中横] Duhalde, chapter on Agriculture, vol. i. p. 272 ; chapter on Plenty, p. 314.
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最後に、結婚に対し与えられている著しい奨励があるが、これは、国の莫大な生産物を極めて少額に分割するという結果をもたらし、またその結果として、支那をして、世界中の他のいずれの
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