ヘラインを渡り、二度と再び退かなかった4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。最初に定着した征服者は、新らしい侵入者によって駆逐されまたは絶滅された。雲霞の如き野蛮人は北半球のあらゆる地方から集ると見えた。彼らは進むにつれて新らしい暗黒と恐怖とを集め、その大群は遂にイタリアの太陽を覆い、西方世界を暗黒に沈めたのである(訳註)。
[#ここから2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Gibbon, vol. iv. c. xxvi. p. 382, et seq. A. D. 376.
2)[#「2)」は縦中横] Id. vol. v. c. xxx. p. 213.
3)[#「3)」は縦中横] Id, p. 214, A. D. 406.
4)[#「4)」は縦中横] Id. p. 224.
〔訳註〕最後の二文は第一版より、1st ed., p. 45.
[#ここで字下げ終わり]
ゴオト族がダニュウブ河を渡って逃れてから二世紀経つ中《うち》に、種々な名称と系統の野蛮人が、トラキア、パノニア、ガリア、ブリテン、スペイン、アフリカ、及びイタリアを掠奪し所有した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。人類の最も恐るべき荒廃と信じ得ざる破壊とが、かかる急速な征服に伴った。そして戦争がかかる暴威をたくましくするのに常にこれと歩調を共にする飢饉と流行病とが、ヨオロッパのあらゆる地方に猛威をふるった。かかる荒廃状態を目睹《もくと》した当時の歴史家は、これを表現する言葉に苦しみ当惑している。しかし言葉の力以上に、かかる野蛮人の侵入者の数と破壊的暴威とは、ヨオロッパの状態に生じた全的変化が、これを実証した2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。地球上の最も美しい地方を通じてかくも長期にかくも深刻に蒙ったこれらの恐るべき結果は、大部分、人口増加が生活資料よりも優れているという単純な原因に、帰し得るであろう。
[#ここから2字下げ]
1)[#「1)」は縦中横] Robertson's Charles V. vol. i. sect. i. p. 7. 8vo. 1782.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 10, 11, 12.
[#ここで字下げ終わり]
マキアヴェルは、そのフロレンス史の冒頭に曰く、『ライン河とダニュウブ河の間にある北方地方の住民は、健康な多産的な気
前へ
次へ
全195ページ中84ページ目
小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ
登録
ご利用方法
ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング