i註)。かくて吾々は、労賃の騰貴せる結果、機械は価格において騰貴しないであろうということを、知るのである。
[#ここから2字下げ、折り返して3字下げ]
(註)吾々はここになぜ旧国は機械の使用を常に余儀なくされ、かつ新国は労働の使用を余儀なくされているかの理由を、知るのである。人間の生活資料を供給することが困難になるごとに労働は必然的に騰貴し、そして、労働の価格が騰貴するごとに機械の使用への新しい誘因が与えられる。人間の生活資料を供給することのこの困難は旧国においては常に作用しているが、新国においては、労賃が少しも騰貴せずに人口の極めて大なる増加が起り得よう。七百万、八百万、及び九百万の人間に食物を供給することは、二百万、三百万、及び四百万に食物を供給するのと同様に容易であろう。
[#ここで字下げ終わり]
 しかしながら労賃の一般的騰貴の際に、彼れの貨物の生産費を増加せざるべき機械に頼り得る製造業者は、もし彼れが引続きその財貨に対して同一の価格を要求することが出来るならば、特殊の利益を享受するであろう。しかし吾々の既にみた如くに、彼はその貨物の価格を低下するを余儀なくされるであろう、しか
前へ 次へ
全691ページ中78ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
吉田 秀夫 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング