うと、資本蓄積の結果がどうあろうと、彼ら各々一日の労働によって同一量の魚と同一量の獣を捕獲し続けている限り、自然的交換率は、鹿一頭対鮭二匹である。
 もし同一量の労働をもってより[#「より」に傍点]少い分量の魚またはより[#「より」に傍点]多い分量の獣が捕獲されるならば、魚の価値は獣のそれに比較して騰貴するであろう。もし反対に、同一量の労働をもってより[#「より」に傍点]少い分量の獣またはより[#「より」に傍点]多い分量の魚が捕獲されるならば、獣は魚に比較して騰貴するであろう。
(一六)もしその価値が不変なある他の貨物があるとするならば、吾々は、魚及び獣の価値をこの貨物と比較することによって、この変動のうちどれだけが魚の価値に影響を及ぼせる原因に帰せらるべく、またそのうちどれだけが獣の価値に影響を及ぼせる原因に帰せらるべきかを、確かめ得るであろう。
 貨幣がかかる貨物であると仮定しよう。もし一匹の鮭が一|磅《ポンド》に値し、一頭の鹿が二|磅《ポンド》に値するならば、一頭の鹿は二匹の鮭に値するであろう。しかし鹿を捕獲するにより[#「より」に傍点]多くの労働が必要になり、または鮭を得るに
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