オて有つ比例に依存するであろう。極めて高価な機械により、または極めて高価な建物の中で、生産される所の、またはそれが市場に齎され得るまでに長い時間を必要とする所の、すべての貨物は、相対価値において下落するであろうが、しかるに、主として労働によって生産され、または速かに市場に齎されるであろう所の、すべてのものは、相対価値において騰貴するであろう。
しかしながら、読者は、貨物のこの変動原因は、その結果において比較的軽微であることを注意すべきである。利潤において一%の下落を惹起す如き労賃の騰貴があれば、私が仮定した事情の下で生産された財貨の相対価値は、わずか一%だけ変動する。それは利潤のかかる大下落があるのに、六、〇五〇|磅《ポンド》から五、九九五|磅《ポンド》に下落するに止る。労賃の騰貴によりこれらの財貨の相対価値に対し生み出され得る最大の影響といえども、六%または七%を超過し得ないであろう。けだし利潤はおそらくいかなる事情の下においてもかかる額以上の一般的なかつ永続的な下落を許し得ないであろうからである。
貨物の価値の変動の他の大原因、すなわちそれを生産するに必要な労働の分量の増減は、これと異る。もし穀物を生産するに百名ではなく八十名が必要とされるならば、穀物の価値は二〇%、すなわち五、五〇〇|磅《ポンド》から四、四〇〇|磅《ポンド》に下落するであろう。もし毛織布を生産するに、百名ではなく八十名の労働で十分であるならば、毛織布は六、〇五〇|磅《ポンド》から四、九五〇|磅《ポンド》に下落するであろう。大なる程度における永久的利潤率の変動は、多年の間においてのみ作用する原因の結果である。しかるに貨物を生産するに必要な労働の分量の変動は、日々起るものである。機械や道具や建物や原料の生産に[#「生産に」は底本では「生産やに」]おけるあらゆる改良は、労働を節約し、吾々をしてかかる改良の加えられた貨物をより[#「より」に傍点]容易に生産することを得せしめ、従ってその価値が変更するのである。しからば貨物の価値の変動の原因を測定するに当って、労働の騰落によって生み出される結果を全く度外視するのは正しくないであろうが、それに多くの重要さを附するのも同等に正しくないであろう。従って本書の以下の部分においては、時に私はこの変化の原因にも触れはしようが、私は、貨物の相対価値に起るすべての大なる変化をもって、その時にそれを生産するために必要とされる労働の分量の大小によって生み出されたものと、考えるであろう。
その生産に投ぜられた労働の同一な諸貨物は、もしそれらが同一の時間で市場に齎され得ないならば、交換価値において異るであろうということは、ほとんどいうをまたない所である。
私が一貨物の生産に一年間一、〇〇〇|磅《ポンド》の費用で二十名を雇い、そしてその年の終りに、再び翌年度のために更に一、〇〇〇|磅《ポンド》の費用を出して、同じ貨物の仕上または完成に、二十名を雇い、そして私はそれを二年の終りに市場に齎すと仮定すれば、もし利潤が一〇%であるならば、私の貨物は二、三一〇|磅《ポンド》で売れなければならない、けだし私は一年間一、〇〇〇|磅《ポンド》の資本を用い、更に一年間二、一〇〇|磅《ポンド》の資本を使用したからである。もう一人の人は、正確に同一の分量の労働を雇うけれども、しかし彼はそれをすべて第一年目に雇うのであり、すなわち彼は二、〇〇〇|磅《ポンド》の費用で四十名を雇うのであって、第一年目の終りには彼はそれを一〇%の利潤を得て、すなわち二、二〇〇|磅《ポンド》で売るのである。しからばここに、正確に同一の分量の労働が投ぜられていて、その一つは二、三一〇|磅《ポンド》に売れ――他は二、二〇〇|磅《ポンド》に売れる所の、二つの貨物があるわけである。
この場合は前の場合と異るようであるが、実際は同一である。双方の場合において、一方の貨物の価格がより[#「より」に傍点]高いのは、それが市場に齎され得るまでに経過しなければならない時がより[#「より」に傍点]長いのによる。前の場合においては、機械及び毛織布は、それらにわずか二倍の労働量が投ぜられているに過ぎないにもかかわらず、穀物の価値の二倍以上であった。第二の場合においては、一方の貨物はその生産により[#「より」に傍点]以上の労働が用いられていないにもかかわらず、他方よりも価値がより[#「より」に傍点]多い。この価値の相違は、双方の場合において、利潤が資本として蓄積されるのによるのであり、そして単に、利潤が留保された時間に対する正当な報償に過ぎないものである。
しからば、異る事業に用いられる資本が、固定資本と流動資本との種々な割合に分たれることは、労働がほとんどもっぱら生産に使用される際に普遍的に適用され
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