第八章 英蘭《イングランド》における人口に対する妨げについて

 我国の社会をほんの瞥見しただけで、あらゆる階級を通じて、人口に対する予防的妨げが極めて著しく行われていることを、吾々は嫌でも認めざるを得ぬ。主として都市に住んでいる上流階級のものは、不正な性関係に耽る便宜があるので、しばしば結婚の志向をもたない。また他のものは、家族をもつと仮定すると費用がかかると考え、また楽しみを奪われると考え、結婚をしないでいる。財産が多い時には、かかる考慮は確かに些細なことであるが、しかしこの種の予防的予見は、下層に下るに従って、重大な考慮を払わなければならなくなるのである。
 辛うじて紳士階級の交りが出来るだけの所得しかない高等教育を受けた人は、もし彼が結婚して家族をもつならば、一切の従来の交際を絶たざるを得なくなることを、絶対に確信しているに違いない。教育ある人が当然に選択する婦人は、彼と同じ習慣と感情の中に育てられ、彼女が結婚によって落ち込まざるを得ぬ社会とは全く異る社会の親しい交渉になれている婦人である。男たるものはその愛情の対象を、おそらくは彼女の習慣と志向とに相反する地位に置くことに
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