m#「5)」は縦中横] 〔Sussmilch's Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. ii. sect. xxxiv. edit. 1798.〕
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ジュウスミルヒによれば、農村の平均死亡率は四十分の一である1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。プロシア及びポメラニアには多数の不健康な大都市があり、また都市人口の農村人口に対する比は一対四であるが、死亡率は三十七分の一以下である2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。ノルウェイの死亡率は、前に述べた如くに、四十八分の一であり、これは、ノルウェイでは、都市人口が農村人口に対する比が、スウェーデンにおけるより大であるのに3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、スウェーデンに比べると異常に低い率である。なるほどスウェーデンの都市はノルウェイよりも大きくまた不健康であるが、しかしこの国が自然的に人間の寿命により[#「より」に傍点]不利であると考えるべき理由はない。ノルウェイの山地は一般に住めない。国内で人が住んでいる唯一の地方は渓谷である。これらの渓谷の多くは、山間の深く狭い割れ目であり、そして谷底の耕地は、物凄く高いほとんど垂直の絶壁で囲まれ4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]、これは長時間太陽光線を遮るので、スウェーデンのもっと広濶《こうかつ》な乾燥している土地ほど健康に適するとは思われないのである。
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1)[#「1)」は縦中横] 〔Sussmilch's Go:ttliche Ordnung, vol. i. c. ii. sect. xxxv. p. 91.〕
2)[#「2)」は縦中横] Id. vol. iii. p. 60.
3)[#「3)」は縦中横] 〔Thaarup's Statistik der Da:nischen Monarchie, vol. ii. tab. ii. p. 5, 1765.〕
4)[#「4)」は縦中横] これらの渓谷のあるものは絵のような絶景である。クリスチアニアからドロンタイムに至る幹道は、ほとんど一八〇英|哩《マイル》の間、この種の延々たる渓谷を縫い、清冽な流れに沿っており、この流れはある所で大きなミオーゼン湖となっている。私は、ヨオロッパ中のどんな河でも、かかる美しい夢のような光景を後から後からと示しているものはない、と信ずる。この流れは土地を異にするにつれて名称を異にしている。ノルウェイの渓谷の新緑は特殊な柔味があり、木々の枝葉は生い繁り、夏には北方の気候の俤《おもかげ》は更にない。
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従って、スウェーデンの死亡率を説明するためには、人民の習慣と、国民の増加を求める政府の不断の希求とが、人口を生活資料の限界に余りに緊密に圧迫する傾向があり、従って貧困と栄養不良との必然的結果たる疾病を生ずる傾向がある、と想像しなければならぬのであるが、この想像たるや、観察によって全く事実であることがわかるのである。
スウェーデンは、その人口に対し十分な食物を生産しない。一七六八年ないし一七七二年の計算によれば、その毎年の穀物不足額は四四〇、〇〇〇タンである1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。この分量、またはこれに近い分量が、一般に、外国から輸入されているが、その外になお多量の豚肉、バタ、及びチイズが輸入されるのである2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] 〔Me'moires du Royaume de Sue`de, table xvii. p. 174.〕
2)[#「2)」は縦中横] Id. c. vi. p. 198.
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スウェーデンにおける酒の醸造は四〇〇、〇〇〇タンの穀物を消費するものと推定されている。この醸造が政府により禁ぜられた時には、輸入表には不足額の変化が現れるが1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、しかし周知の如く頻々と起る不作の年の不足を補うためのより[#「より」に傍点]以上の変化は見られない。非常に豊饒な年で、醸造が自由に出来る時には、一般に三八八、〇〇〇タンが輸入されていると云われている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。従ってスウェーデン人は、最豊作の年の全生産物と、その上にほとんど四〇〇、〇〇〇タンとを消費し、そして最不作の年にはその消費はその収穫不足のほとんど全額だけ減少しなければならぬ、ということになる。人民大衆は非常に貧困であって、ために非常に騰貴した価格ではほとんど同一量の穀物を買うことは出来ない。従って穀物商人に多量に輸入させるに足る刺戟はなく、従って穀物が四分の一または三分の一不足すれば、その結果として労働者は、以
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