クリスチアニア周辺の地方では、農業方法に非常に大きな改良が行われ、またドロンタイムの近隣地方ですら、人工牧草栽培養が行われるようになってきたが、これは家畜のためにかくも多くの冬期食物の必要な国においては最も重大なことである。ほとんどあらゆる所で馬鈴薯の栽培は成功し、僻地ではなお一般人の愛好物となっていないけれども、その使用はますます普及しつつある。
 農場の分割は、昔よりもむしろ近年の習慣である。そしてノルウェイにおける商品の販路は、おそらく、大農場の完全な耕作を奨励するに足るほど大ではないから、この分割はおそらく、土地の改良に貢献してきたことであろう。ノルウェイの農業が一般に最近著しく進歩したことは、正しい判断を下し得る地位にある人の間で実際|あまねく異論のないことと思われる。そして記録簿は、人口がそれよりも早い速度でこれに随伴したことを示している。一七七五年ないし一七八四年までの十年間を平均して、出生の死亡に対する比率は、一四一対一〇〇であった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。しかしこれはむしろ急激に過ぎる増加と思われる。けだし翌年すなわち一七八五年は、不作と疾病の年で、死亡が大いに出生を超過し、そして次の四年間、特に一七八九年には、出生の超過は大きくなかったからである。しかし一七八九年ないし一七九四年の五年間では、出生と死亡の比率はほとんど一五〇対一〇〇であった2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Thaarup's Statistik der Da:nischen Monarchie, vol. ii. p. 4.〕
 2)[#「2)」は縦中横] Id. table i. p. 4. その後刊行された『デンマアク国統計表』Tableau Statistique du Etat Danois. では、一七九四年以後五箇年間の出生の総数は一三八、七九九、死亡は九四、五三〇、結婚は三四、三一三となっている。これらの数からすると、出生の死亡に対する比率は一四六対一〇〇であり、出生の結婚に対する比率は四対一、また死亡の結婚に対する比率は二七五対一〇〇である。平均年出生率は総人口の三五分の一、同年死亡率は四九分の一と述べられている。Vol. ii. ch. viii.(訳註――『その後刊行された』以下は第
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