實@に三十五万おり、また文人の独身者だけで約九万いる、と云っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Duhalde's China, vol. i. p. 244.
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貧民は家族を養い得る見込みが少しでもあればおそらく常に結婚するであろうし、また殺児が許されているからこの点の大きな危険を喜んで冒すであろうが、しかし彼らは疑いもなく、その子供を全部遺棄し、または自分自身や家族を奴隷に売らざるを得ないことが確実であれば、結婚を躊躇するであろう。そして下層階級の人口の極貧により、右の確実性はしばしば実現するであろう。しかしデュアルドによれば、人口に対する予防的妨げが主として作用するのは、支那において窮乏の結果その数が莫大に上るところの奴隷自身の間のことである。人は時に、非常に安い価格で、その子供を、また自分自身や妻をさえも売る。普通の方法は、買戻条件付での身売りであり、かくて多数の下僕下婢が一家族に結合されることとなる。ヒュウムは、古代人の間における奴隷制の慣行を論ずるに当って、一般に、奴隷を子供から育てるよりも成人の奴隷を買った方が安いと云っているが、これはその通りである。この言葉は支那人に特に当てはまるように思われる。すべての著述家は、支那に不作が頻々と起ることを、一致して述べているが、かかる時期には、おそらく多数の奴隷がほんの生きるだけの代償で売られることであろう。従って一家の家長にとっては、その奴隷に出産を奨励するのは大抵不得策であろう。従って吾々は、支那ではヨオロッパと同様に、召使の大部分は独身である、と想像し得よう。
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1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 278.『この帝国の窮乏と大人口とは、そこにこの莫大な奴隷を生ぜしめる。一家のほとんどすべての下男、及び概してすべての下女は、奴隷である。』Lettres Edif. tom. xix. p.145.
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罪悪的な性交から生ずる人口に対する妨げは、支那では非常に多くはないように思れれる。女子はおとなしくひかえ目で、姦通は滅多にないと云われている。しかしながら蓄妾は一般に行われており、大都市では公娼が登録されている。しかしその数は多くなく、サア・ジョオジ・スタウントンによれば、未婚者や家族から離れている夫の少数者に釣合っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Embassy to China, vol. ii. p. 157.
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疾病による人口に対する積極的妨げは、かなり著しいけれども、予想されるほどは大ではないように思われる。気候は一般に非常に健康的である。宣教師の一人は、疫病《ペスト》や伝染病は、一世紀に一度も起らぬとまで云っているが1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、しかし、他の人々はそれは決してそれほど稀ではないように云っているから、これは疑いもなく誤りである。一般に一定の墳墓をもたない貧民の埋葬に関する宦官へのある訓令には、伝染病が流行する時には、遠距離まで空気が感染されるほど道路が屍体で蔽われる、と述べられている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。そして伝染病の年に関する説明が3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]、そのすぐ後に出ているが、これはいわばそれが稀でないことを意味するように思われる。毎月一日と十五日とに宦官は集合し、その人民に長い講話をするが、その際各知事は家族の者に訓示する家父の役割をする4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。デュアルドが示しているかかる講話の一つには次の如き章句がある、『伝染病が穀物の不作と相俟って到る処を荒廃させる年が時々発生するが、かかる年に気をつけなければならぬ。かかる際における君らの義務は、君らの同胞に憐愍の情をもち、そして手離し得るものは何でも手離して彼らを援助するにある5)[#「5)」は縦中横、行右小書き]。』
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1)[#「1)」は縦中横] Lettres Edif. tom. xxii. p. 187.
2)[#「2)」は縦中横] Id. tom. xix. p. 126.
3)[#「3)」は縦中横] Id. p. 127.
4)[#「4)」は縦中横] Duhalde's China, vol. i. p. 254.
5)[#「5)」は縦中横] Id. p. 256.
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通常そうであるように、おそらく伝染病は子供の上に最も激しく落ちかかるであろう。ジェスイット僧の一人は、親が貧しいために生れると同時に殺される嬰児の数を論じて
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