セる通りである。ペルシアにおける未耕地の耕地に対する比例は十対一であるとサア・ジォン・チャアディンは云っている1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。ペルシア王の官吏及び私的所有者がその土地を農民に貸出す仕方は、最もよく勤労を鼓舞するが如きものではない。ペルシアの穀作はまた、降雹、旱魃、及び蝗その他の虫害によって駄目になることが非常に多いが、このことはおそらく、むしろ土壌の耕作に資本を用いることを妨げる傾向があるであろう。
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 1)[#「1)」は縦中横] Chardin's Travels, Harris's Collect. b. iii. c. ii. p. 902.
 2)[#「2)」は縦中横] Id.
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 疫病《ペスト》はペルシアには及んでいない。しかしロシアの旅行者の云うところによれば、天然痘が著しく蔓延しているという1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔De'couv. Russ. tom. ii. p. 377.〕
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 ペルシアにおける人口に対する妨げについてこれ以上詳しく述べる必要はなかろう。けだしそれはいまトルコ領のところで述べたものとほとんど等しいように思われるからである。トルコにおける疫病《ペスト》の優勢な破壊力と対照するものは、おそらく、ペルシアにおいては内乱がより[#「より」に傍点]頻々と起るということであろう。
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    第十一章 印度及び西蔵における人口に対する妨げについて

 サア・ウィリアム・ジォウンズが飜訳し『ヒンズウ法典』と名づけた印度の立法者マヌウの法典では、結婚は非常に奨励されており、そして男系相続人は第一の重要性を有つものとされている。
『息子によって人は万人に勝を占める。息子の息子によって人は不死を享受する。そして後、かの孫の息子によって人は天に達する。』
『息子はその父をプトと名づける地獄から救い出す故に、梵天自身によりプトラと呼ばれた1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Sir William Jones's Works, vol. iii. c. ix. p. 354. レイナル僧正はインドの法律を論じて曰く、『人口増加は原始的義務であり、結婚を便ならしめるためには欺瞞し虚言し偽誓することさえ法が認めるほど神聖なる自然の秩序である。』Hist. des Indes, tom. i. l. i. p. 81. 8vo. 10 vols. Paris, 1795.
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 種々異る婚礼につき、マヌウはその各々に特定の品等を与えている。
『ブラアミイすなわち第一位の婚礼による妻の息子は、徳行をなせば、十人の祖先、十人の子孫、及び二十一人目たる自己を、罪障から贖う。』
『ダイバの婚礼による妻から生れた息子は、尊族卑族各七人を贖い、アルシャの婚礼による妻の息子は各三人を、プラアジャアパチャの婚礼による妻の息子は、各六人を、贖う1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Sir Wm. Jones's Works, vol. iii. c. iii. p. 124.
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 家政者は最優位にあるものとされている。『聖者、霊魂、神々、妖精、及び賓客は、家長のために福祉を祈る1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』弟よりも以前に結婚しなかった兄は、特に忌むべき人間として述べられている2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. p. 130.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 141.
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 かかる法令は当然に、結婚を宗教的義務として考えせしめるであろう。しかもかくも熱望されている目的物たるものは、多数の子孫たるよりはむしろ男系相続者の継続であるように思われる。
『一人の息子を産んだ父は自身の祖先に対する負債を弁済する。』
『その出生により父が負債を弁済し、またそれを通して父が不死を得る息子のみが、義務の観念より生れたるものである。残余の一切は、賢人によって、快楽の愛好より生れたるものと看なされる1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。』
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 1)[#「1)」は縦中横] Id. vol. iii. c. ix. p. 340.
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 寡婦は、ある場合には、死んだ夫の兄弟またはある指定された親族によって、一人の息子を産むことは許されるが、しかしいかなることがあっても二番目
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