2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 348.
3)[#「3)」は縦中横] 〔Tacitus de Moribus German. sect. v. ; Cae&sar de Bell. Gall. vi. 22.〕
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サンブリ族の最初の侵入から西ロウマ帝国の崩壊に至る間、植民し掠奪せんとするゲルマン民族の努力は絶えなかった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。この期間に、戦争と飢饉によって死んだものはほとんど数え得ず、そして人口の水流が極めて異常な力を有つ源泉により補給されない限り、かかる人口稀薄な国がその力を減ぜずに人口を補給し得たはずはなかったのである。
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1)[#「1)」は縦中横] ケイザルはガリアにおいて、アリオヴィストスを戴く最も恐るべき植民地を見、また数年にして全ゲルマン民族がライン河を渡るであろうという恐怖が、一般に拡がっているのを見た。De Bell. Gall. i. 31.
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ギボンは、ガリアの辺境地方をゲルマン民族に対して確保しようというヴァレンチニアンの努力を記している。彼は曰う、この敵は、北方の最も遠方の種族から絶えず勇敢な義勇兵を補給されているものであった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。異種族をわけなく吸収したことが、おそらく、ゲルマン民族が最も破壊的な敗北の後に、かくも急速にその勢力を恢復したやり方であったらしい2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]、と。しかしこの説明は、問題の難点を少し先へやるだけのことである。これは、地球は亀の上にあると説くことになるが、ではその亀は何の上にあるかは云わないのである。吾々はなお問い得よう、この勇敢な冒険者の絶間なき水流を補給した北方の貯水池は何であるかと。この問題に関するモンテスキウの解答は、思うに承認し難いものである。彼は曰う、昔北方から押し出て来た野蛮人の群は、今日ではもはやない、と。そして彼がその理由としてあげていることは、ロウマの暴力は南方の人を北方に駆逐したが、彼らは、この力が続く限りそこに止っていたが、それが衰えるや否や、再びあらゆる国に拡がった、というのである。
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1)[#「1)」は縦中横] Gibbon, vol. iv. c. xxv. p. 283.
2)[#「2)」は縦中横] Id. ib. note.
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同一の現象は、シャアレマン大帝の征服と暴政、及びそれに続くその帝国の滅亡の後に、現れた。そしてもし王侯が――とモンテスキウは曰う――今日ヨオロッパにおいて同様の暴威を振うならば、北方に駆逐され、宇宙の涯《はて》に閉じ込められた諸民族は1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、三度ヨオロッパに溢れまたは征服する時まで、そこに停止しているであろう、と。そして註の中で彼は曰く、『吾々はこの有名な問題――何故《なにゆえ》に北方はもはや昔ほど人口が充満していないのか、という問題が、何に帰着するかが分る。』と。
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1)[#「1)」は縦中横] 『宇宙の涯に追いつめられた民族はそこを固守するであろう。』〔Grandeur et De'cad. des Rom. c. xvi. p. 187.〕
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もしこの有名な問題が、またはむしろそれに対する解答が、上述のところに帰着するのであるなら、それは奇蹟に帰着するものである。けだし何かの神秘的な食物獲得方法がない限り、これらの集った諸民族は、かかる不毛の地で、ロウマ帝国の隆盛期というが如き長期間、いかにして自己を維持し得たかは、いささか理解し難いからである。そして、この恐ろしく大きな群が、宇宙の涯を最後の拠り場として、自分の故郷に戻り、もう一度通常のより[#「より」に傍点]豊富な生活資料にありつき得るまで数百年の間、驚くべき豪気の精神をもって、空気と水で生きている――吾々はこう想像しなければならぬが――勇敢な光景を考えてみたら、何人も微笑せざるを得ないであろう。
しかしながら、もし吾々が、アメリカに発生したことがかくも周知の事実を当時のゲルマン民族に適用し、戦争と飢饉とによって妨げられないならば彼らは二十五年または三十年でその人口を倍加すべき比率で増加した、と想像するならば、問題全部は直ちに解決するのである。古ゲルマンの住民にこの増加率を適用するの至当なることは、またはむしろ必要なることは、タキトスの残した彼らの行状に関する最も価値多い描写により、はっきりとわかることであろう。彼は、これら民族は都市に住まず、密集せる植民地をさえなしていなかった、と記している。あらゆる人間は、その住宅の周囲に空地をめぐらしている1)[
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