ウれた2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。しかしジュリアンはゲルマンに侵入するや否やこれを征服していたのであった。そしてロウマ世界を絶えず恐怖に陥れていたほどの人民の大群を送り出したこの大きな巣窟の真ただ中で、彼れの進軍を妨げた主たる障害は、ほとんど通行し得ない道路と、広大な無人の森林であったのである3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Gibbon, vol. iii. c. xix. p. 215, A. D. 356.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 228, and vol. iv. c. xii. p. 17, from A. D. 357 to 359.
3)[#「3)」は縦中横] Id. vol. iv. c. xxii. p. 17, and vol. iii. c. xix. p. 229.
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かくてジュリアンの戦勝軍により征討され圧倒されはしたけれども、この多頭蛇の怪物は数年後またも立上がって来た。そしてヴァレンチニアンは、その決心と用意と優れた才智を十分発揮して、その領土を、アレマニ族、ブルグンド族、サクソン族、ゴオト族、クアディ族、及びサルマチア族の色々の侵入から守らなければならなかった1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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1)[#「1)」は縦中横] Gibbon, vol. iv. c. xxv. from A. D. 364 to 375.
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ロウマの運命は、遂に、ゴオト族全体を帝国に雪崩れ込ませたフン族の抗し難き移動によって、決定された1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そしてゲルマン諸民族に対しこの有力な圧迫が続くので、彼らはその森林及び沼地を逃げ込んだサルマチア人に譲渡し、または少くともその過剰人口をロウマ帝国領に吐き出す決心をさせられたように思われる2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。かつて共和国の繁栄期に無数のサンブリ族及びチュウトン族を吐き出したバルチックの同じ沿海地方からは、四十万の移民が送り出された3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。この集団が戦争と飢饉とによって滅ぼされた時に、また他の冒険者がその後を次いだ。スエビ族、ヴァンダル族、アラニ族、ブルグンド族はラインを渡り、二度と再び退かなかった4)[#「4)」は縦中横、行右小書き]。最初に定着した征服者は、新らしい侵入者によって駆逐されまたは絶滅された。雲霞の如き野蛮人は北半球のあらゆる地方から集ると見えた。彼らは進むにつれて新らしい暗黒と恐怖とを集め、その大群は遂にイタリアの太陽を覆い、西方世界を暗黒に沈めたのである(訳註)。
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1)[#「1)」は縦中横] Gibbon, vol. iv. c. xxvi. p. 382, et seq. A. D. 376.
2)[#「2)」は縦中横] Id. vol. v. c. xxx. p. 213.
3)[#「3)」は縦中横] Id, p. 214, A. D. 406.
4)[#「4)」は縦中横] Id. p. 224.
〔訳註〕最後の二文は第一版より、1st ed., p. 45.
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ゴオト族がダニュウブ河を渡って逃れてから二世紀経つ中《うち》に、種々な名称と系統の野蛮人が、トラキア、パノニア、ガリア、ブリテン、スペイン、アフリカ、及びイタリアを掠奪し所有した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。人類の最も恐るべき荒廃と信じ得ざる破壊とが、かかる急速な征服に伴った。そして戦争がかかる暴威をたくましくするのに常にこれと歩調を共にする飢饉と流行病とが、ヨオロッパのあらゆる地方に猛威をふるった。かかる荒廃状態を目睹《もくと》した当時の歴史家は、これを表現する言葉に苦しみ当惑している。しかし言葉の力以上に、かかる野蛮人の侵入者の数と破壊的暴威とは、ヨオロッパの状態に生じた全的変化が、これを実証した2)[#「2)」は縦中横、行右小書き]。地球上の最も美しい地方を通じてかくも長期にかくも深刻に蒙ったこれらの恐るべき結果は、大部分、人口増加が生活資料よりも優れているという単純な原因に、帰し得るであろう。
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1)[#「1)」は縦中横] Robertson's Charles V. vol. i. sect. i. p. 7. 8vo. 1782.
2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 10, 11, 12.
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マキアヴェルは、そのフロレンス史の冒頭に曰く、『ライン河とダニュウブ河の間にある北方地方の住民は、健康な多産的な気
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