[#「1)」は縦中横、行右小書き]。
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 1)[#「1)」は縦中横] 〔Mallet, Introd. a` l'Histoire de Dannemarc, tom. i. c. x. p. 221, 223, 224. 12mo. 1766.〕
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 英蘭《イングランド》のサクソン諸王の秕政《ひせい》と内乱とは、フランスのシャアレマンの治世の後に生じた弱点と同様の結果を生み出した1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]。そして二百年の間、英国は、これらの北方侵略者により、絶えず、蹂躪されまた部分的にはしばしば征服された。八、九、十世紀の間、海はヨオロッパの端から端まで彼らの船隊で覆われた2)[#「)」は底本では欠落][#「2)」は縦中横、行右小書き]。そして今日技術と武力とにおいて最も有力な国も、彼らの不断の掠奪の好餌であった。しかしこれらの国の力が増大し合体するにつれ、遂に、かかる侵入による成功をこれ以上期待することは一切出来なくなった3)[#「3)」は縦中横、行右小書き]。北方の諸民族は徐々としてかつ詮方なく、彼らの自然的限界内にとじこもり、その牧畜的風習、及びそれと共にそれが与える侵掠と移住との特殊便宜を、商業と農業との気永の労働と手間どる報酬と交換せざるを得なくなった。しかしこの報酬の手間どることは、必然的に、この人民の風習に重大な変化を齎《もた》らしたのである。
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 1)[#「1)」は縦中横] Mallet, p. 226.
 2)[#「2)」は縦中横] Id. p. 221.
 3)[#「3)」は縦中横] おそらく文明世界は、火薬の採用による戦術の一変によって、進歩せる技術と知識とが肉体力よりも決定的に優越するに至るまでは、新たな北方または東方からの侵入から完全に安全になったとは考え得なかったことであろう。
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 昔スカンジナヴィアが絶えず戦争をし移民を出していた時代には、家族を養い得ないという恐れから結婚を妨げられた者はほとんどなく、またはおそらく一人もなかったであろう。近代のスカンジナヴィアでは、これに反し、最も差し迫ったしかも至当な理由のあるこの種の心配から、結婚が絶えず妨げられている。このことは、後に他の場所で述べるように、ノルウェイで特に甚しい。しかし同じ
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