sour through the East of England. etc. London 1771.), John Campbell (A Political Survey of Britain. etc. 1774.), William Eden (Four Letters to the Earl of Carlisle, etc. London 1779. Do. ; A Fifth Letter etc. London 1780.), William Wales (An Inquiry into the present State of Population etc. London 1781.), John Howlett (An Examination of Dr. Price's Essay), George Chalmers (An Estimate of the Comparative Strength of Great−Britain, etc. 1782.) 等である。
 もう一つは、マルサスが『人口論』でかなり詳しく触れているところの、古代世界と当時とに関する Hume−Wallace Controversy である、―― Robert Wallace ; A Dissertation on the Numbers of Mankind etc. Edinburgh 1753. David Hume ; Political Discourses. Edinburgh 1752 : Discourse X. Of the Populousness of Antient Nations.
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 いわゆるマルサス的理論が単に識者の口にするに過ぎないところであり、常識的世論が人口増加の擁護であった時において、マルサスがこの常識論を正面から排撃する立場に立ったことは、なるほど世人を驚かしたことであろう。しかし単にこの事実をもって吾々はマルサスのすさまじい反響を説明することは出来ない。実に彼れの『人口論』の第一版は社会思想史上において完全に比類なきほどの反響を惹き起した。悪罵と賞讃とは共にそれに雨と注いだ。しからばそれは右の如き俗論の徹底的排撃によるものであろうか。それが事実でないことを知るためには、単にタウンスエンドを振返るだけで十分である。けだし彼は既にこのことをマルサス以上に徹底的に行っていたのであるから。ではそれは何によって説明せらるべきであろうか。上述の如くにそれがこの内在的理論の故をもって説明し得ないとすれば、勢いそれは外部的事情すなわち社会的役割によって説明せられる外はない。しかるにマルサスはその基礎理論の上に立って二つのことを解決せんとしたのであった。人口論争における人口減退の問題がその一であり、『英国におけるフランス革命』における社会の一般的永続的改善の可能性の問題――貧民法の問題を含めて――がその二である。しかるに人口論争においては勝敗の数は既に明かであったのであり、しかもフランス革命に関する論争が起って後はそれはかなりに世間の視聴から隠れてしまっていた。従って『人口論』第一版の出版の年たる一七九八年の遅きに至ってマルサスが現代の人口のより[#「より」に傍点]多きを立証せんとしたところで、それは世間の視聴を惹くべくもなかったのである。結局彼れの反響の基礎は、フランス革命によって惹き起された英国特権階級の不安を最も適時にかつ俗耳に入り易い形で排除した点にある、と云うべきである。もちろん平等の社会への憧れを抹殺し去ったのはマルサスをもって最初とはしない。しかしながらフランス革命の主動勢力が一七九二年を境としてジャコバンの手に落ち、英国における『通信協会』がジャコバンと手を結ぶに至って後、英国の社会情勢が著しく逼迫を告げるに至って後に、人口原理を根拠として平等主義を正面から克服せんとしたのは、マルサスをもって最初とする。ここにマルサスの名声の真の根拠が存在するのである。
        三
 この絶大な『人口論』のポピュラリティに最も驚愕したものは、おそらく著者マルサスその人であったかもしれない。ところがこの書は時事問題を論ずるいわゆる試論であり、学究的なまたは philosophical な論究ではない。そこで第一版の望外な成功に自ら驚いたマルサスは、海外旅行と多大な読書とによって多数の資料を蒐集した上、一八〇三年の第二版においては、第一版の試論的性質を捨ててこれに代えてそれを一つの論究の書とするにつとめた。かくて努力の主観的目標は、時論の追及から原理の歴史的証明へと転向した。すなわち第一版においては若干の頁を割かれたに止った人口原理を実証する歴史的記述の部分は著しく拡張され、それは尨大《ぼうだい》な第二版の約二分の一を占めることとなった。彼れの主観的意図のこの変更は、両版の書名の比較によって知ることが出来る。すなわち、――
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 第一版―― An Essay on the Principle of Population, as its affects the future Improvements of Society, with Remarks on the Speculations of Mr. Godwin, M. Condorcet, and other Writers.
 第二版―― An Essay on the Principle of Population ; or, A View of its past and present Effects on Human Happiness ; with an Inquiry into our Prospect respecting the future Removal or Mitigation of the Evils which it occasions. A new Edition, very much enlarged.
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 かくて『人口論』第二版は第一版に比して著しく尨大なものとなったが、なお彼れの主観においては極めて重大なもう一つの変更がある。それは第三の妨げとしての『道徳的抑制』の導入である。第一版においては、より[#「より」に傍点]大なる力たる人口の力は、罪悪及び窮乏の二つの妨げのみによって、食物の水準にまで圧縮されるというのであったが、第二版においてはこの二つの妨げに加えて、『道徳的抑制』すなわち結婚し得る境遇に至るまで結婚を差控えその間道徳的生活を送ることを挙げている。この変更は論敵ゴドウィン自身の示唆によるものと想像されるが1)[#「1)」は縦中横、行右小書き]、マルサスはこの修正を極めて重視している。これについては『人口論』第二版の序言、その他その本文の関係箇所における彼自身の記述に詳しい。
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 1)[#「1)」は縦中横] William Godwin ; Thoughts occasioned by the Perusal of Dr. Parr's Spital Sermon, etc. London 1801, pp. 72−75. Malthus ; Essay, Bk. III., Ch. III. : Observations on the Reply of Mr. Godwin.
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『人口論』はその後しばしば版を重ねている。すなわち一八〇三年の第二版に続いて、一八〇六年には第三版、一八〇七年には第四版、一八一七年には第五版、一八二六年には第六版が現れている。これらはいずれも訂正増補を含むが、その中特に第二、第三、及び第五の諸版が甚だしい。今それら諸版の相照応する諸章を対照してみると次の如くである。
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第五・六版 / 第三・四版 / 第二版 / 第一版
第一篇 世界の未開国及び過去の時代における人口に対する妨げについて / 第一篇 同上 / 第一篇 同上 / 
 第一章 問題の要旨、人口と食物との増加率 / 第一章 同上 / 第一章 同上 / 第一章 第二章
 第二章 人口に対する一般的妨げとその働き方について / 第二章 同上 / 第二章 同上 / 第一章 第二章
 第三章 人類社会の最低段階における人口に対する妨げについて / 第三章 同上 / 第三章 同上 / 第三章 第四章
 第四章 アメリカ・インディアンにおける人口に対する妨げについて / 第四章 同上 / 第四章 同上 / 第三章 第四章
 第五章 南洋諸島における人口に対する妨げについて / 第五章 同上 / 第五章 同上 / 第三章 第四章
 第六章 ヨオロッパ北部の古代住民における人口に対する妨げについて / 第六章 同上 / 第六章 同上 / 第三章 第四章
 第七章 近代牧畜民族における人口に対する妨げについて / 第七章 同上 / 第七章 同上 / 第三章 第四章
 第八章 アフリカ各地における人口に対する妨げについて / 第八章 同上 / 第八章 同上 / 第三章 第四章
 第九章 南北シベリアにおける人口に対する妨げについて / 第九章 同上 / 第九章 同上 / 第三章 第四章
 第十章 トルコ領及びペルシアにおける人口に対する妨げについて / 第十章 同上 / 第十章 同上 / 第三章 第四章
 第十一章 印度及び西蔵における人口に対する妨げについて / 第十一章 同上 / 第十一章 同上 / 第三章 第四章
 第十二章 支那及び日本における人口に対する妨げについて / 第十二章 同上 / 第十二章 同上 / 第三章 第四章
 第十三章 ギリシア人における人口に対する妨げについて / 第十三章 同上 / 第十三章 同上 / 第三章 第四章
 第十四章 ロオマ人における人口に対する妨げについて / 第十四章 同上 / 第十四章 同上 / 第三章 第四章
第二篇 近代ヨオロッパ諸国における人口に対する妨げについて / 第二篇 同上 / 第二篇 同上 / 
 第一章 ノルウェイにおける人口に対する妨げについて / 第一章 同上 / 第一章 同上 / 第四章 第五章
 第二章 スウェーデンにおける人口に対する妨げについて / 第二章 同上 / 第二章 同上 / 第四章 第五章
 第三章 ロシアにおける人口に対する妨げについて / 第三章 同上 / 第三章 同上 / 第四章 第五章
 第四章 ヨオロッパ中部における人口に対する妨げについて / 第四章 同上 / 第五章 同上 / 第四章 第五章
 第五章 スイスにおける人口に対する妨げについて / 第五章 同上 / 第七章 同上 / 第四章 第五章
 第六章 フランスにおける人口に対する妨げについて / 第六章 同上 / 第八章 同上 / 第四章 第五章
 第七章 フランスにおける人口に対する妨げについて(続) /  /  / 第四章 第五章
 第八章 英蘭《イングランド》における人口に対する妨げについて / 第七章 同上 / 第九章 同上 / 第四章 第五章
 第九章 英蘭における人口に対する妨げについて(続) /  /  / 第四章 第五章
 第十章 蘇格蘭《スコットランド》及び愛蘭《アイルランド》における人口に対する妨げについて / 第八章 同上 / 第十章 同上 / 第四章 第五章
 第十一章 結婚の出産性について / 第九章 同上 / 第四章[#「第四章」に傍点] 同上 / 第四章 第五章
 第十二章 伝染病が出生、死亡、及び結婚の記録簿に及ぼす影響 / 第十章 同上 / 第六章[#「第六章」に傍点] 伝染病が死亡記録簿に及ぼす影響 / 第四章 第五章
 第十三章 以上の社会観察による一般的推論 / 第十一章 同上 / 第十一章 同上 / 第六章 第七章
第三篇 人口原理より生ずる害悪を除去するものとしてかつて社会に提案されま
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