一商人として
――所信と体験――
相馬愛蔵・相馬黒光

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【テキスト中に現れる記号について】

《》:ルビ
(例)郷里信州を出《い》づ

|:ルビの付く文字列の始まりを特定する記号
(例)早速|糯米《もちごめ》を

[#]:入力者注 主に外字の説明や、傍点の位置の指定
   (数字は、JIS X 0213の面区点番号、または底本のページと行数)
(例)※[#「插」でつくりの縦棒が下に突き抜けている、第4水準2−13−28]話を
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   序言

 この書には中村屋創立当時から現在までの推移をほぼ年代を追うて述べているが、店の歴史を語る主意ではない。店員たちに平素抱いている私の考えを取りまとめて話したいと思い、すべて自分の体験に即して商人の道を語ろうとしたので、勢いこの体系をなすに至った。私の店は、累代のしにせでもなければ親譲りの商家でもない。元来私は農家出で、一書生として青年期を送り、たまたま志を商売に起し夫妻力を協せて今日に至ったのである。したがって私の言うところは素人の考えにすぎない。世間の人は私に向かって中村屋が繁昌する秘訣を話せと云い、商売のコツを教えてくれなどと云う人
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