すれば、それは平日充分の能率をあげていなかった証拠であって、それこそ大いに研究を要するところである。
この特別勤労の五割増も、精いっぱいの働きからさらに五割の力をしぼり出せるというのではなく、平日の働きが自ずから調和のとれた働きである時に初めてそれだけの緊張を予想することが出来るのであって、解りやすい例でいえば、一様に何時間労働という中にも、米国の工場における八時間は、機械が主になっていて、人は機械に従い、機械につれて速力的に働かねばならぬのであるから、自主的の労働と大いに趣きを異にし、常に緊張そのものであらねばならない。そうして彼方ではこの緊張した労働の限度を八時間としているのであって、日本のまだそれほどに機械化しておらぬ我々商店の労働をこれに較べると、彼の八時間はこれの十二時間とほぼ匹敵するであろう。それゆえ一週に一日くらいは大いに緊張して平日の五割増くらいの仕事をするのに困難はなく、したがって翌日の仕事にたいして影響するほどのこともない。それゆえ臨時の仕事を引き受ける場合は平日の五割増程度に止め、それ以上欲張ることは慎しまねばならない。
ゆえに能率が平均して向上するのでなけれ
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