ずはなく、製造の間に原料の一部は飛散し、油分、水分はその大部分を失うものであって、これらの損耗が正確に現われるのでなければ、製品の原価は甚だ曖昧なものとなる。
私はこの事を指摘し、あらためて正確な試験をやらせたところ、果して今度は二割の減量となった。小麦粉には一割五六分の水分があり、砂糖にも八九分の水分があり、それがことごとく飛散する上にバターもおおかたは無くなり、玉子はおよそ五分の一以下に減ずるのだから、この減損は当り前なのであった。しかし職人ばかりでない、人情の弱点として、自分の働きの効果を大きく見てもらいたいという微妙な心理から、有利なる報告をする傾があるものである。私がもしその報告を基準として売価を定めたならば、すなわち勘定合って銭足らずになるところであった。
商品販売の上にもこれと同様の場合が多い。たとえばバターを五十ポンド樽より半ポンド詰に分けたり、水飴を百斤樽から缶に移す場合などには、大略百分の五の減損となり、またビスケット類のような崩れやすい菓子を計り売りする時には、一般に百分の六、七は砕けと計り込みとなり、実にこれを包装紙に包み遠方に配達する等の諸費をも加え、ま
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