の念をおぼえ、従って部下を愛することになるのであります。するとまた部下の方でも喜んで働き、決して骨惜しみなどいうことはないものであります。
これに反し、主人の方で、月給を払うから働くのだという頭でいるとすると、働くのは当然だ、いやまだまだ働きが足りない、もっともっと隙なく働くべきだとなって、部下の働きを相当に認めることが出来なくなるのであります。そうすれば部下も反抗心を起して、何だ雀の涙ほどの小遣いしか出さないでおいて、そんなに働いて堪るものかという気になって、自然横着をきめざるを得ないのであります。
お互いにそんなふうになってしまったら大変で、どちらも自然に発露する感謝の念によって扶け合い、主人はどこまでも誠実に部下を率いて、はじめて仕事が順調に運ぶのであります。第二は、
「部下に対してあくまで公平であること」であります。
多勢の者を使うのに分け隔てがあってはならない、誰に対しても公平でありたいとは、誰でも思うことでありますが、実際に当って見ると、これくらいむずかしいことはありません。早い話が自分の生んだ子供でさえ多勢あればこれを平等に愛するのは容易ではありません。長男はグヅで
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