の主位を占めて居り、官吏や貴族の跋扈《ばっこ》を許さざるゆえである。東京商人たる者、今にして大いに省るところなくば、将来の大発展は覚束ないのみならず、常に大阪商人の下風に立たざるを得ないであろう。

    商人としての盆暮の物品贈答

 東京では商人が日頃の得意に対して感謝の意を表わすために、年々盆暮の二回に必ず物品を贈る習慣がある。得意の方でもこれを当然として催促する家さえある。しかし日頃充分精を出して勉強する店は実際年二回たとえ僅かたりとて得意全体に物品を贈る余裕はないのである。しかるにこの旧慣を改め得ざるは何となく体裁がわるいのと、急にこの習慣を廃することによって得意を失いはしないかとの姑息な思い煩いからであって、何も確かな根底があるわけではない。
 当店が取引をしている問屋で、日常勉強する店は必ずこの使い物がけちであるが、不勉強である店に限り日頃取引している金額に対して過ぎるほど立派な金目の品物を持って来る。あるボール箱屋はまだ取引をしていないにもかかわらず、何とかして得意にしようと年末使い物を持参した。もとより取引もないのに受取る筈もなく拒絶したが、無理に店先において帰って
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