妙を得ているという如く、必ず他人の及ばざる長所を誰しも持っているものである。そこで主人として大いに注意すべきことは、店員の長所短所を心得て事務を執らしめざるべからざることはもちろんであるが、主人の手加減一つで本人を片輪的の、融通のきかない人物としてしまうことが往々ある。これを我が店員について見るに、店の部を受持っているものは製造のことはいっこう趣味を持たず、時々御得意から菓子の製造など問われて答に窮する者もある。また製造部にいる者は店の営業に興味を持たなくなる傾きがある。すなわち客に接するのを面倒がり、あるいは仕入れのことを念頭におかなくなる。ただ終日麺棒を握って粉と砂糖にまみれ、そして月々の給金を貰って満足するようになるが、従来の職人はみなこれと同じ模型のものであって、ただ職をおぼえるだけで商法というものを呑み込んでいないから、いつまで経っても職人でパン屋へと渡り歩き、四十五十の下り坂になってもいまだ家を成さず、妻子を持たず、依然職人として使役される者が沢山ある。ゆえに我々は店員をしてかような弊に陥らしめざるよう種々苦心しているが、その方法の一つとして製造部いわゆる職人見習いの小僧ど
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