消すことのみ考えているらしい。しかしこれというのも必竟するに、主人たる者が彼らを待遇する法を誤っていたからで、これひとり職人の罪に帰することは出来ない。むしろその責めは主人が負うべき筈である。いったい今までの主人たる者は、朝から夜まで工場で手足を動かしていさえすれば、仕事は進まずとも満足するし、勉強して早く仕事を仕上げて休息すると職人が怠っているものとして甚だ機嫌がわるい。かようにせずして毎日の日課を定め、これを終えざれば徹夜してなりと仕上げよと厳重に申し渡して実行せしめる代りに、もし仕事を早く片づければ、半日で済んでも公々然と休めるというふうに仕向けるべきである。そうすれば職人達も従来の職人根性は出さないで、精々働くものである。当店の職人なども初めはこの職人根性であったため、甚だ不愉快を感じ、また不都合であったけれども、待遇法を改めて以来全くこの弊風は止んだことを喜んでいる。
また店員を使うに、その人の長所短所をよくわきまえて適当の仕事を与えなければ、彼も我も甚だ不愉快なばかりでなく、不得意である。甲は外交的役割に最も適し、乙はまた店番として商品整理や客扱いに成功し、丙はまた集金に
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