種類によっては断然思い止まらねばならぬ。例えば玉子屋、果物屋、八百屋、菓子屋、小間物店等の店は、烈しい夕日を受けるために損害ことに甚しく、とうてい夕日を受けない店と競争すること能わざるゆえ、早晩移転する外はない。ひとり蒲団屋だけは夕日を受ける方が得策である。されど概して如何なる商店にも夕日を受けぬ方が利益多きゆえ、同じ町内でも夕日を受けぬ側の方が地代家賃も高いことである。

    五、建築の注意

 銀座等の如き路幅広き町に、二間や三間間口の小規模の店は、もはや商店として仲間入りは至難のこととなった。ゆえに近来しきりに市区改正せられて、道路の大いに広まるとともに、建築を壮大に改め、人々の注意を引かんとする傾きが著しい。かくの如く互いに壮麗高大を競う今日となっては、勢い西洋風の大建築に改めなければならぬ。普通の日本風の二階建は低くして見すぼらしいから、遠からず三層四層の壮観を仰ぐに至るは明らかである。欧米の大建築もたぶんこれと同じ理由から来たものではないか、とすれば今日より十年後には日本橋の大通りなども、欧米の市街に劣らない美観を呈するに至るは想像するに難からざることである。それゆえ今
前へ 次へ
全330ページ中263ページ目


小説の先頭へ
文字数選び直し
相馬 愛蔵 の一覧に戻る
作家の選択に戻る
◆作家・作品検索◆
トップページ 登録 ご利用方法 ログイン
携帯用掲示板レンタル
携帯キャッシング