う方法である。概して東京の商家はかような方法で、辛うじて経済を立てることが出来るのであるが、この事情に気がつかず、商売のみで楽に家計が立つように早合点して、数百千円の資本を抱いて来るのである。その結果は、月々に生計費のために追い倒されて、終には商を閉じなくてはならぬ始末に立ち至るのである。ゆえに信用を博して顧客を拡むるまで、すなわち一二年の維持の出来るだけの資本を準備しているものか、または職業の手腕を持っている者ならば、まずとやかくと立ち行く方法を講じられようが、少ない資本をもって妻子を伴れて東京に出て来る、やっと店を開いて右より左に商売の売上げ高で一家を支えて行こうとする者はきわめて危険である。多くの失敗を招く人々は、この事情に対する準備がなくて、地方の生活と同様の考えをもって胸算用を立てている人々である。

    二、開店場所の選択を誤るに在る

 すでに多少の資本を抱いて地方より出て来た人が、いよいよ商店を開こうとするに当って、まず場所の選択について見当を誤まることが多い。これがそもそも失敗に陥るべき根源である。いったい如何なる場所に開店すべきかということは、当人の資本の多寡と
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